高校選手権は明日13日、いよいよ決勝を迎える。近年の強さが際立つ青森山田か、古豪復活を印象付ける静岡学園か。両校の戦力や戦術、選手権ならではの不確定要素などから、注目の一戦を展望する。

絶対王者に真っ向勝負を挑む

 対する静岡学園は1995年度以来、24年ぶりに決勝の舞台に戻ってきた。近年は県予選を突破できなかったが、準決勝まで最多の16ゴールを挙げて勝ち上がり、静岡県勢として2007年度の藤枝東以来となる決勝進出を果たした。ここのところ低迷が続く『サッカー王国』の誇りを取り戻す、千載一遇のチャンスが目の前にある。

『静学(シズガク)スタイル』を築いた井田勝通監督(現・総監督)は2009年に第一線を退いたが、その教え子である川口修監督が母校の指揮を執り、ドリブルとショートパスを主体とするブラジル流の伝統のスタイルは、いまも受け継がれている。緑のユニフォームが躍動する姿に、胸を躍らせる往年の高校サッカーファンも多いだろう。

 そんな技巧派集団の中でも違いを見せるのが、J1鹿島への加入が内定しているMF松村優太だ。スピードに乗ったドリブルは破壊力抜群で、個の力でチャンスを創出することができる。今大会は対戦相手から徹底マークを受けてノーゴールが続いたが、矢板中央(栃木)との準決勝、後半アディショナルタイムに自ら獲得したPKを決め、待望の初ゴール。決勝に向けて「武田くんにはライバル心を持っている」と語り、10番対決にも闘志を燃やしている。

 準決勝まで無失点と、キャプテンのDF阿部健人を中心とする守備陣の安定も見逃せないが、決勝に向けて川口監督は「我々は守備のチームではない」と、あくまで攻撃的に戦うことを強調。「相手は絶対王者。青森山田さんに勝つならば、我々のストロングポイントを120パーセントくらい出さなければ、おそらく勝てない」と力の差を認めつつ、「何点か取られるかもしれないですが、1点でも多く取れればいいという発想でいます」と、真っ向勝負で挑む決意を明かした。

静岡学園はMF井堀二昭の正確なキックも大きな武器。リスタートから得点を狙う上で欠かせない(写真◎福地和男)

 双方の戦力や経験値などを総合的に考えれば、青森山田の優位は動かないが、何が起こるか分からないのが高校サッカーで、スタジアムの雰囲気が静岡学園を後押しする可能性もある。事実、青森山田の準々決勝、準決勝では、相手が得点を挙げるとスタジアムが大きく沸いた。静岡学園の選手たちが決勝独特のムードにのみ込まれず、大観衆を味方につければ……。

 全国4038校の頂点に立つのは、果たしてどちらか。注目の一戦は明日13日、14時5分に埼玉スタジアムでキックオフを迎える。

※なお決勝では、会場窓口での当日券の販売が実施されないことが日本サッカー協会から発表されました。来場予定の方は事前にチケットをご購入ください。詳しくは日本テレビの高校サッカーホームページ、日本サッカー協会のホームページなどをご確認ください。

文◎サッカーマガジン編集部 写真◎小山真司、福地和男

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