FC東京育ちの選手に迫る連続独占インタビューの最終回。大卒1年目のルーキーながらポジションをつかんだ渡辺剛が、J1のラスト2試合に向けて決意を語る。進境著しいCBが考える初優勝への鍵とは?

東京の選手として東京五輪に!

1月の新体制発表で口にした「優勝したい」との熱い思いを実現できるか?(写真◎山口高明)

――高校卒業のタイミングではオファーはありませんでしたが、大学に進み、4年生の時に2種登録されました。

渡辺 キャンプに呼ばれました。

――声がかかった時は、どういう気持ちでしたか。

渡辺 他のチームからもオファーをもらっていて、タイミング的にはそちらを考えていました。でもFC東京から「キャンプに来ないか」という話をもらって。もう一方のチームの強化部の方に「チャンスがあるなら絶対に行きたいので、キャンプに参加します」と伝えました。その気持ちをご理解いただいたことには感謝しています。多分、自分の行きたいという気持ちが出ていたんだと思います。あのときは、まさか呼ばれるとは思っていなかったので、すごくうれしかったですね。

――実際にキャンプに参加して感じたことはありましたか。

渡辺 まずレベルが高いことと、環境が素晴らしいなと。キャンプの練習場でしたが、環境がすごくて、これがプロなんだと感じました。そしてそれを実感できた場所が、FC東京であることに幸せを感じました。あとは自分の身長が中学時代から伸びていたので、昔を知るテツさん(長澤轍トップチームコーチ兼U-23監督)に驚かれましたね(笑)。

――去年はキャンプに参加し、2種登録され、今年からプロになって、今、優勝争いをしています。

渡辺 1年前、大学サッカーのときとは反響が違います。まずファン・サポーターの方がいっぱい来る中で試合できることに、プロってすごいなと感じますし、いろんな人に影響を与えられる世界なんだと実感しています。

――10月に東京五輪世代の代表にも選ばれ、いっそう注目度も増したと感じます。

渡辺 実は代表に選ばれる前から森重(真人)さんに「お前なら絶対に入れるから」とか、「俺が引退した後にお前がA代表で活躍している姿を想像できるよ」と言ってもらっていました。それはすごくうれしかったし、やらなければと思いました。

――ワールドカップ経験者にそう言われたら、自信になりますね。
渡辺 そうですね。プレー面でも、森重さんは合わせる能力がすごく高い選手で、東京でプレーしてきた中でもいろんな選手と組んでレベルの高いプレーを見せている。そんな森重さんが隣にいて、「お前のストロングポイントを出してほしい」と言ってもらえているので、僕はのびのびやれています。アドバイスももらいますし、ありがたいです。

――やっぱりオリンピックは意識していますか。

渡辺 少しは意識していますよ。東京で試合に出ていたら選ばれるだろうなとは思っていました。

――東京五輪にはやはりFC東京の選手として出たい、という思いもありますか。

渡辺 東選手が「東京でオリンピックがあるのに、FC東京の選手から一人も出ないのは格好がつかないし、一人は絶対に出た方がいいよね」という話をされているので。やっぱり、そこは大事だと思っています。

――先輩たちが渡辺選手に期待しているということですね。

渡辺 その期待に応えられるように。自分は小さい頃からFC東京に関わってきましたが、チームはまだリーグ優勝したことがなくて、今、選手としてここにいます。自分が所属しているときにリーグ優勝したい。いま、それを狙える位置にいるので、最後の1秒まで戦いますよ。

取材・構成◎佐藤 景 写真◎山口高明

トレインビジョン Vol.7 『最後の1秒まで』

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