【インタビュー第1回】FC東京・橋本拳人「最後の1秒まで戦って優勝する!」
【インタビュー第2回】FC東京・矢島輝一のラッキーボーイ宣言!」
あくまでチャレンジャー
――今シーズン、FC東京は序盤から首位に立っていましたが、アウェーの連戦が続いてポイントを落とし、少し足踏みすることになりました。この期間はどういう気持ちで過ごしていたのですか。
渡辺剛 僕はプロ1年目ですが、ずっと調子が良いチームなんてないと思っています。どのチームもどこかで躓いている。自分たちは今までずっと上手くいっていたので、ここで少ししゃがむくらい、気に留めることではないと思う。勝てないときはあるものだし、そこを乗り越えられるのが本当に強いチーム。今のFC東京なら乗り越えられると考えながら、その期間は過ごしていました。だから、足踏みしたときも不安にはならなかったです。
――いよいよホームの味の素スタジアムに戻ってきて、試合をしました。11月9日のジュビロ磐田戦で負傷し、湘南ベルマーレ戦はベンチ入りしましたが、出場はありませんでした。足の状態はどうなのでしょう。
渡辺 もう大丈夫です。急ピッチで仕上げました(笑)。
――アウェーで戦っている間、味の素スタジアムではラグビー・ワールドカップが行なわれていましたが、見ていましたか。
渡辺 見ましたよ。感動しましたね。あれだけスタジアムにお客さんが入って盛り上がって、なおかつ人々を感動させるプレーをしていて、素直にかっこいいなと。自分たちもあのような感動を与えることができると思っています。優勝争いを続けていたら、やっぱり沢山のファン・サポーターの方々に見に来てもらえるし、そこで自分たちが最高のプレーをすれば、雰囲気も最高になるはず。湘南戦は引き分けという結果でしたが、ホーム最終戦では最高のプレーを見せて勝ちたいです。
――残る試合は、11月30日にホームで戦う浦和戦、そして最終節のアウェーの横浜FM戦の2試合です。タイトルを手にするために何が重要になると考えますか。
渡辺 僕は深く考えすぎないことが一番大事だと思っています。優勝争いをしていると硬くなったり、いろいろ考えすぎてしまうことがある。今までもあまり深く考えずポジティブにやってきたので、こういう状況にあることを楽しまなければいけないと思います。チームとしてもこの状況は初めてのことです。多くの選手が初めての経験の中、正解は分からないというのもあると思う。だからこそ思いのままに突っ走った方がうまくいくんじゃないかと思うんです。自分たちのサッカーをして、最高のパフォーマンスができれば勝てる。深く考えすぎずにやった方がいい。
――ここから、さらにプレッシャーのかかる状況になると思いますが今、チームで話しているのも、やはり普段着のサッカーをするということになりますか。
渡辺 変わらずにいこうという話はしています。これまでも負けた試合の後に落ち込んでいると、経験のある選手たちが「下を向くことはないよ」とポジティブな言葉をかけてくれました。本当に頼もしいです。キャプテンの東(慶悟)選手もそうだし、みんなが「まだまだ大丈夫だ」と声をかけてくれて、今があります。チームの雰囲気はすごく良いし、普段通りできればと思っています。
――『最後の1秒まで』を合言葉に終盤戦を戦って来ました。アディショナルタイムに森重真人選手の同点ゴールが生まれた湘南戦はまさにその通りになりましたね。
渡辺 自分たちは優勝したことがないし、ここにいることが初めてです。立場はあくまでチャレンジャー。どんな状況になっても諦めたり、手を抜いてはいけない。そんな考えが一瞬でもよぎったら勝てるわけがないですから。最後の1秒まで自分たちのサッカーをやり切ったら、優勝の可能性もおのずと高まるはずです。最後の結果はどうなるか分からないですが、諦めずに全力で自分たちの持っているものを出し切れば、シーズンが終わったときに、みんな笑顔になれると思う。だから、やり切ることが大事なんです。
――シーズンの最終盤を迎えて、自分の役割についてはどのように捉えていますか。
渡辺 自分たちが失点しなければ負けることはない。ここから先は勝ち点1も落とせない状況ですが、自分としては、泥臭くても何でも、体に当ててでも、とにかくゴールを決めさせないようにしていきたい。どんな形だろうと勝てばいいし、勝つためには失点しないことが重要です。自分が良いプレーをできなくても、チームが勝てばいい。まずは失点しないことですね。
――渡辺選手の発言はいつもチームファーストですね。
渡辺 もちろん、個人としても良いプレーができればいいんですけど、自分が良くてもチームが勝てないと、結局その先につながっていかないと思います。自分が悪くてもチームが良ければ、プラス作用があって、その先につながる。だからチームの勝利が一番大事だと考えています。