G大阪U-23とホームで引き分けた鳥取で、光る活躍を見せたのがMF魚里直哉だった。左サイドで攻守にアグレッシブなプレーを見せ、前半には同点ヘッドも。J2昇格に向けてシビアな戦いが続く中、小柄なアタッカーはJ2昇格に向けて、これまで以上に自分の持ち味を出していく決意だ。

上写真=ファーサイドでフリーとなった魚里がヘッド。先制された直後の同点ゴールだった(写真◎石倉利英)

■2019年10月13日 J3リーグ第26節
 鳥取 2-2 G大阪U-23
  得点者:(鳥)魚里直哉、林誠道
      (G)OG、ダビド・コンチャ

「あまり決めたことがない」

 29分にオウンゴールで先制された鳥取だが、すぐに同点に追い付いた。敵陣右サイドでボールを持ったMF福村貴幸が、利き足の左足でカーブをかけてセンタリング。左サイドの一番奥でフリーとなった魚里が、体を投げ出しながらヘッドでたたきつけたボールは、G大阪U-23のGK田尻健が伸ばした手をはじき、逆サイドのネットを揺らした。

 ゴールシーンについて魚里は「フクさん(福村)が自分の逆サイドで、フリーでボールを持ったときは、常に相手のサイドバックの裏を狙っている。狙い通りでした」と振り返る。167センチの小柄な体格もあり、ヘッドでのゴールは「あまり決めたことがない」という珍しい一撃だったが、先制されたチームに再び勢いをもたらす貴重な働きだった。

 C大阪U-18から関西学院大を経て昨季、C大阪に『里帰り加入』したが、鳥取の熱心なオファーを受けて昨季途中に完全移籍。サイドでのドリブル突破からのチャンスメークだけでなく、しっかり戻って守備もさぼらない献身性で、加入直後から鳥取に欠かせない存在となった。今季は主に右サイドでプレーしていたが、前節から左サイドへ。「左サイドがしっくりきているので、今日もうまく自分の特徴を出せたと思う」と語った通り、後半もエネルギッシュなプレーで攻撃、守備とも奮闘した。

 鳥取は後半、78分に2-1として逆転したものの、83分に失点して勝ち点1に終わった。前日に首位の群馬が引き分けていたが差を縮められず、勝ち点10差で6位のまま。昇格圏内の2位・北九州、その下の3位・藤枝との勝ち点差も10で、J2昇格への戦いは厳しさを増してきた。ホーム連戦となる次節は、群馬を迎えての大事な一戦。負ければもちろん、引き分けでもJ2昇格がさらに遠のく。

 その群馬戦に向けて「もう負けられない」と危機感をあらわにした魚里は、「自分の特徴を多く出せた試合は、チームの流れも良い試合が多いと思う。より高い位置で数多く仕掛けることが、こちらの流れにつながると思うので、意識してやっていきたい」と決意を新たに。サイドを突破する自らのプレーのように、J2昇格への道を切り開くべく、さらなる活躍を誓った。

取材・写真◎石倉利英

おすすめ記事

サッカーマガジン 2019年11月号