今年6月に行なわれた女子ワールドカップで世界一に返り咲くことを目指したなでしこジャパン(サッカー日本女子代表)は16強で敗退した。10月6日のカナダ戦は、同大会以来の試合であり、再スタートと位置付けられる一戦だった。結果は、4-0で日本が快勝。同じく女子W杯で16強入りした相手を寄せ付けなかった。とくに攻撃面で違いを見せたのが、招集外の阪口夢穂に代わってこの試合で背番号10をつけた籾木結花だ。

上写真=チームの2点目をスコアし、3点目の起点になるなど攻撃面での貢献が光った籾木

■10月6日 国際親善試合
日本 4-0 カナダ
得点:(日)岩渕真奈、籾木結花、長谷川唯、小林里歌子

ゴールはうれしいけど課題はたくさん(籾木)

籾木は負傷した三浦成美に代わって前半42分に急遽、ピッチに立つことになった。そして試合開始早々に岩渕真奈が得点したあと、なかなか2点目を挙げられなかったチームに貴重なゴールをもたらす。65分に長谷川唯のシュートのこぼれ球を右足で冷静に蹴り込んだ。

「こぼれ球を狙っていくというところは前線の選手として持っていないといけないところですし、そこでしっかりとゴールを決めるということは自信にもなりますし、すごくうれしかったんですけど、自分でボールを運んでいってドリブルからゴールだったりとか、仲間とのコンビ―ネーションでのゴールを奪うというところは、まだままだ足りないと感じたので、うれしい反面、課題もたくさん感じました」

 長谷川が決めた3点目の起点にもなった。右サイドから相手最終ラインの裏へ長いボールを出すと、相手DFが処理し切れずに岩渕、長谷川とつながってゴールが生まれた。ピッチに登場後、籾木はスキルフルかつ頭脳的なプレーを随所で披露し、はっきりと分かる形で結果も出した。ただ、本人に満足するところはない。自ら得点した喜びよりも、課題のほうに意識は向く。しかも、チーム全体を俯瞰するように。

「W杯の敗戦から東京五輪に向けて、みんながもう一回、自分たちの力で優勝をつかみ取ろうという意識を持った。今のチームには、それがあります。練習の質であったり、オフのところであったり、色んな質が上がってきていると、すごく感じます。それは今までとは違った意識かなと思います」

 カナダ戦前の合宿の中で、チームが世界一に返り咲くために動き出していることを実感できたと籾木は言った。

「最後の一歩を寄せるとか、ボールを取り切るところとか、シュート練習でも、外れたゴールに対しての声掛けだったり、求める基準がすごく高くなっていると思います」

 現在、開催中のラグビーW杯で快進撃を見せている日本代表を見て、チームが「積み上げてきたものに自信を持っている」点に、籾木は注目したという。「自分たちと比較すると、ラグビーの日本代表の選手ほどは自信がなかった」と、W杯時点のなでしこを振り返ってもいる。

 東京五輪で、なでしこジャパンの選手たちは、これまでやってきたことに自信を持てるようになっているか。そのために必要なことをやり抜く覚悟が、籾木にはある。

「何を積み上げていくのかというのを、自分たちも大事にしていきたい」

 五輪の開幕まで、すでに300日を切っている。

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