浦和が2試合合計3-3とし、アウェーゴール差で上海上港を上回って準決勝に進出した。第2戦は39分に興梠慎三のゴールで先制したが、1点リードで迎えた60分に失点。終盤は攻め込まれる時間が長くなったものの、守備陣が持ちこたえて1-1(2試合合計3-3)のまま試合を終わらせた。上海上港は出場停止となったフッキの欠場が響いた。この日も試合を決めたのは、浦和の頼れるエースだった。

上写真=第1戦で貴重なアウェーゴールを挙げた興梠が第2戦でも突破に導く得点をマークした(写真◎Getty Images)

■9月17日 AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦
浦和 1-1 上海上港
得点:(浦)興梠慎三、(上)ワン・シェンチャオ
※2試合合計3-3アウェーゴールの差で浦和が準決勝進出

相手の視野から消えた(興梠)

 ペナルティーエリア内ですっとマークを外し、一瞬フリーになった。興梠慎三の真骨頂だ。関根貴大の鋭いクロスを頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。値千金の先制点をマーク。ただの1点ではない。大きなアドバンテージとなるゴールだった。
 
 アウェーの第1戦は2-2。この日のホームは0-0、1-1のスコアでも準決勝への進出が決まる状況。結果的に60分に1失点を喫して追いつかれたものの、最後の最後でエースの1点で命拾いした。興梠本人もその価値を十分に理解しており、満足そうに笑みを浮かべた。

「難しい試合でしたが、(第1戦の)アドバンテージを忘れて勝ちに行きました。いい時間帯で1点取れたのが良かったです。あのゴールは自分の持ち味を出たと思います。相手の視野から消えて、逆に動きました。練習からやっている形です。イメージどおりでしたね。関根もいいボールを上げてくれました」

 今季、国内のリーグ戦では11ゴールを決めており、前人未踏の8年連続2ケタゴールを達成したばかり。アジアの舞台でも、点取り屋の得点力が落ちることはない。ACLでは3試合連続ゴール。2大会ぶりの準決勝進出の立役者となった。ACL歴代の通算得点記録では、日本人単独トップの25得点である。

 キャプテンマークを左腕に巻くエースの仕事は、ゴールを奪うことだけではない。前線で時間をつくり、味方の飛び出しを促していた。終了間際には敵陣の奥深くでボールをキープし、体を張って時計の針を進めた。トーナメントの勝ち方を知る男が目指すのは、クラブ通算3度目のアジア王者だ。9月25日に天皇杯3回戦の水戸ホーリーホック戦、同28日には国内リーグのサガン鳥栖戦も待っている。10月2日の準決勝第1戦までは過密日程。タフな戦いがここから始まる。

「Jリーグでは不甲斐ない戦いが続いています。なんで、こんなにも勝てないなんだろうと言うくらい。それでも、変にやり方を変えるのではなく、やり続けることが大事」

 ACLの勝ち上がりをきっかけにリーグ戦でも巻き返し、準決勝の弾みにする。

取材◎杉園昌之 写真◎Getty Images

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