隣県を本拠とする栃木と水戸の『北関東ダービー』は、アウェーの水戸に軍配が上がった。8分にMF福満隆貴が左足でゴールに蹴り込み先制すると、10分後にはMF黒川淳史がPKのチャンスを物にして追加点を奪取。さらに、54分にはDF志知孝明のクロスにFW小川航基が右足で合わせて3点目。水戸が敵地で快勝し、勝ち点3を積み上げた。

上写真=栃木戦で先制ゴールを挙げた水戸の福満(写真◎J.LEAGUE)

■2019年9月1日 J2リーグ第30節
栃木 0-3 水戸
得点者:(水)福満隆貴、黒川淳史、小川航基

「アイツが帰ってくる前に差を縮められるように」

 C大阪から7月に期限付き移籍で水戸に加入したMF福満隆貴が、チームの快勝を呼び込む先制ゴールを挙げた。開始早々の8分、後方からのロングボールがFW小川航基に入ると、直後にゴール前で相手DFに当たってこぼれてきたところに素早く反応し、左足を一閃。シュートはゴールネットに突き刺さった。

「(小川)航基に(ボールが)入ったところで、僕も関われるように、中に入って準備していました。『ここに(ボールが)来てくれたらいいな』と思っていたところに、ちょうど転がってきたので、思い切って足を振りました。(ゴールが)決まって良かったです」

 水戸加入後2ゴール目。前節の東京V戦に続き2戦連発となったが、1点目はチームの勝利につながらなかっただけに、この日は「チームの勝利に貢献できてうれしい」と決勝点の喜びを噛み締める。

「先制点を取るか、取られるかでは、大きく違うので、今日は絶対に先制点を取って、自分たちが優位に立ちたかった。(前節の)ヴェルディ戦は(先制されて)それができなかったので、その課題に1週間取り組んできたことで、(栃木戦では)早い時間帯にゴールを決められたのかなと思います」

 この勝利により、水戸は勝ち点を「51」に伸ばした。順位は5位だが、J1自動昇格圏の2位横浜FCとは、わずか勝ち点1差。J1への切符を懸けた争いは、今節時点で6位の山形まで5チームが勝ち点1差でひしめき合う大混戦となっている。

 その中で、「ここで勝つか、負けるかでは、上に行けるか、行けないか、変わってくると思っていました。勝つことで2位との差が勝ち点1になるのも知っていたので、試合前から凄くモチベーションが高かった。勝ち切れたことは、大きな自信になりました」と、福満は勝利に胸を張る。

 9月8日に行なわれる次節では、8位の金沢をホームに迎える。U-22日本代表の遠征に帯同している小川を欠く中でリーグ戦2連勝を狙う。

「航基がいない中で負けてしまったら、チームは成り立たない。航基は(遠征先の)アメリカとメキシコで頑張ってくれると思うので、自分たちはアイツが帰ってくる前に、上との勝ち点差を縮められるように頑張りたい」

 地域リーグからキャリアを積み重ね、J1にまで上り詰めたアタッカーが、水戸をクラブ史上初の舞台へとけん引する。

取材◎小林康幸

関連記事

サッカーマガジン 2019年10月号