上写真=7月31日のJ1デビューから中2日でホーム2連勝に貢献した井林(写真◎J.LEAGUE)
■2019年8月3日 J1リーグ第21節
広島 1-0 札幌
得点者:(広)稲垣祥
劣勢をしのいで1-0勝利
前節が7月20日の札幌が中12日だったのに対し、広島は中2日。広島の城福浩監督が試合後に「最も暑い時期に、この日程はあり得ない。いまでも納得していない」と憤った状況も影響したのか、前半の広島は終始押し込まれる展開。札幌FWジェイのヘッドが左ポストとクロスバーに当たるなど、何度も決定的なピンチを作られ、攻撃陣もシュート1本に終わるなど劣勢を強いられていた。
そんな試合展開で井林は、「今日は、いかに失点しない時間を増やせるかが大事だと思っていた。いつもほど球際も行き切れていなかったから、やられなければいい、とポジティブに(考えていた)。相手とのコンディションの違いは間違いなくあったので、最後で何とか踏ん張れれば、それでいい、という考えで、(周囲に)そういう声を掛けていた」という。結局、前半を0-0でしのいだ粘りが49分の稲垣祥の決勝点と、1-0勝利につながり、「際どいピンチは多かったですけど、結果的に無失点で抑えられたことが、この勝ちにつながったと思う」と振り返った。
東京Vから今季、地元でもある広島に完全移籍したものの、日本代表の佐々木翔をはじめとするDFの選手層の厚さに阻まれ、リーグ戦の出場機会をつかめずにいた。しかし7月31日の第16節未消化分で、警告累積で出場停止だった野上結貴に代わって3バックの一角に入ると、その試合で佐々木が負傷したため、今節は佐々木の穴を埋める形で2試合連続の先発。J1デビューから短期間での連戦となったが、「僕は疲れがたまっている方じゃない。より声を掛けることを切らさずにやろうと意識していた」と語る通り、周囲との連係で最終ラインを固め、貴重な1点を守り抜く原動力となった。
最終ラインの顔ぶれが流動的になる中でつかんだホーム2連勝を「それがチーム力だと思う。上位にいるチームは、メンバーが代わっても結果を残す。これから自分たちが上位を狙っていくためには、そういう力が絶対に必要」と分析する。3-0から3-2に追い上げられての逃げ切り勝ちだった川崎F戦とは違い、今回は完封勝利。「やられかけている場面もあるので、一概に結果だけ見ても(評価できない)、と自分では思っている」と冷静に振り返りつつ、「それでも、出た試合で勝つことができるのはプラス材料。それぞれプレースタイルが違うぶん、プレーの迫力や見方は変わりますけど、やれることをやってアピールしていきたい」と、今後の定位置争いに意欲を見せていた。
取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE