横浜FMが日産スタジアムにイングランド王者のマンチェスター・シティを迎えた。18分にベルギー代表MFケビン・デブライネに先制点を許したが、5分後に遠藤渓太がゴール前のこぼれ球を右足で蹴り込み同点。しかし、40分にラヒーム・スターリングに勝ち越し点を奪われると、試合終了間際にルーカス・ネメヒャに追加点を決められ、敗れた。

上写真=横浜FMの左サイドでチャンスを作った遠藤渓太(写真◎J.LEAGUE)

■2019年7月27日 EUROJAPAN CUP 2019
横浜FM 1-3 マンチェスター・シティ(イングランド)
得点者:(横)遠藤渓太 (マ)ケビン・デブライネ、ラヒーム・スターリング、ルーカス・ネメヒャ

シティの強さに驚嘆「とてつもないスルーパスを出す選手がいたり…」

 疾風のごとく、横浜FMの左サイドを駆け抜けた。左ウイングのポジションで先発出場した遠藤渓太は、マンチェスター・シティの右サイドバックを務めたカイル・ウォーカーの裏のスペースを突き、75分に途中交代するまで何度もチャンスを作り出した。

「(裏のスペースに抜ける動きは)普段からやっているので、みんながどのタイミングで(パスを)出してくれるか分かるし、相手も困っていたと思う。でも、(ウォーカーの)圧力はすごかったし、それがディフェンダーとしてのすごさなのかなとも感じました。たぶん1対1をやったら負けるだろうから、味方が流動的に動いて自分をフリーにしてくれたことで、うまくそこを突けたと思います」

 前半23分にはマルコス・ジュニオールのシュートを相手GKクラウディオ・ブラボが弾いたボールに詰めて同点ゴールを挙げた。ただ、「追い付いてからすぐ(前半のうち)に勝ち越されてしまったのは悔しい」と、表情は晴れない。

「(マンチェスター・シティは)すごく強かったし、力の差はあったと思う。とてつもないスルーパスを出す選手がいたり、それに反応する選手がいたり、そういうところでも差は感じたし、すべてにおいて上回られていた」と、世界最高峰のイングランド・プレミアリーグを制した強豪の実力に舌を巻く。

 ただ、「普段は、負けて得るものはあまりないと思っているんですけれど、こういう世界のトップで活躍する選手と戦って、負けたことからは、学ぶことがたくさんあると思います」と、収穫があったことを強調する。

「戦わなければ感じられないものは多いし、ましてや世界のトップで活躍する選手と対戦する機会を(ピッチ外から)見ているだけでは何も感じられなかったと思う。実際に戦ったことによって、これからのプレーにも変化が生まれればいい。どこに(ボールを)置いてはいけないとか、この間合いでボールを離したら奪われるとか、そういったことは対戦してみて分かったのかな、と。この敗戦を糧にして、もっと強くなりたいし、うまくなりたい」と、その目はさらなる高み向く。

 そんな遠藤は、自らの試合に向けて準備を進める一方で、後輩の戦いにも注目していた。「今日、SNSで結果を見ていました。0-2から追い付いて、PKになったんですよね」と、日本クラブユース選手権を戦うユースチームの結果にも気にかけている。

 遠藤自身は2015年に同大会のMVPと得点王を獲得し、チームを“夏の頂点”へと導いた。偉大な先輩は、マンチェスター・シティ戦が行なわれた7月27日の午前に大宮U18をPK戦の末に下し、“遠藤の代”以来となるベスト4に駒を進めた後輩にエールを送る。

「そんなに偉そうなことを言える立場ではないのですが、(優勝するためには)チーム全員の力が必要だし、(優勝するまでは)一喜一憂しないことも大事だと思います。ベスト4まで行ったら、やはり優勝してほしいですね」

 遠藤が期待を寄せる横浜FMユースの日本クラブユース選手権準決勝は7月29日、決勝は同31日に、それぞれ味の素フィールド西が丘で行なわれる。

取材◎小林康幸

関連記事

サッカーマガジン 2019年9月号