メキシコとの第2戦は3ゴールを奪い、完勝を収めた。この勝利で勝ち点を「4」に伸ばし、グループステージ突破へ大きく前進。ゴールを決めたFW陣に加え、ボランチで初先発した藤本寛也(東京V)の活躍も光った。

上写真=CKで田川のゴールをアシストし、喜ぶ藤本(写真◎Getty Images)

■2019年5月26日 U-20ワールドカップ・グループステージ第2節
日本 3-0 メキシコ
得点者:(日)宮代大聖2、田川亨介

「どんどん上手くなることだけを考えてやるだけ」

 一瞬の判断が、日本に大きな先制点をもたらした。21分、左サイドバックの鈴木冬一がゴール前へクロスを送り、相手DFがヘディングでクリアする。次の瞬間、誰よりも早くボールに反応した藤本寛也が右足でペナルティーエリア内にパスを送ると、宮代大聖が左足を振り抜き、メキシコのゴールネットを揺らした。

「僕はこぼれ球を狙っていました。相手もカウンターの起点にするために、それを狙っていたと思うけれど、自分にとって自信がある“予測”と“判断”で、うまくボールを取れた。最初はボールをトラップして落ち着かせようかなと思ったんですけれど、敵が来ているのが分かっていたし、あそこで(ボールを)取られたら逆にカウンターを食らうんで、とりあえずアバウトに相手のキーパーとDFラインの間にボールを入れました。そしたら(宮代)大聖がうまく反応してくれました」

 この日の藤本の活躍は、先制点のアシストだけにとどまらない。CKから田川亨介のヘディングシュートをお膳立てし、二つ目のアシストを記録した。

 数字に表れないところでも、ボランチとして攻守に存在感を放った。中盤で縦へ、横へとボールを裁き、攻撃のリズムを作った。守備では、的確なポジショニングから相手のボールホルダーへアタックし、メキシコのパス回しを封じた。81分にベンチへ下がるときの表情が、この試合での充実ぶりを物語っていたのかもしれない。

「前回の試合(エクアドル戦)をベンチから見ていて、もし自分が出たら、もっとボールを触ってビルドアップの形とかを変えながら、相手を困らせたりして、そこから(ボールを)前進させられたら良いと思っていた。今日の試合は自分が入ったことで、いろいろな形を出しながら、うまくボールを前進できたかなと。自分にとっては初戦でしたけれど、良い試合展開になったので良かった」

 ただ、絶好の大会デビューを飾ったものの、まだ満足はしていない。さらなる世界の強豪国と対戦すべく、藤本はさらなる高みを目指している。

「もっと強い相手とやりたい。(第3戦目の相手である)イタリアなんて、たぶん今日の相手よりレベルが高いと思うし、その先の決勝トーナメントに進んだら、もっと強い相手と戦える。自分の中でワクワク感があります。ワールドカップは良い大会だと思うし、そこで自分をもっと成長させるために、どんどん上手くなることだけを考えてやるだけです。自分たちが1位通過するために、次の試合で勝つことだけに集中しなければいけない」

 第2節終了時点で、グループ首位のイタリアとの勝ち点差は「2」。メキシコ戦でベールを脱いだ若き司令塔は、世界屈指のタレントを擁するイタリア戦に向けて、すでに闘志を燃やしている。

取材◎小林康幸