5月24日にポーランド北部のグダニスクでトレーニングを行なった日本代表。屋外練習に参加した西川潤、中村敬斗、茂木秀、鈴木彩艶、鈴木冬一、三國ケネディエブス、藤本寛也、喜田陽、中村敬斗の9人が、練習後に取材を応じた。その中で茂木は、エクアドル戦でPKのピンチを防いだ若原智哉の活躍について、口を開いた。

上写真=この日は茂木と鈴木彩(右)がトレーニングに励んだ(写真◎サッカーマガジン)

「キーパー3人でのチームみたいなものがある」

 グダニスク市内のグラウンドに現れたGK2人は、リラックスした表情を浮かべつつも、トレーニングが始まると熱のこもったプレーを見せた。前日のエクアドル戦では、日本のゴールを守った若原智哉(京都)がPKストップのビッグプレーを披露。ベンチから見ていた茂木秀(C大阪)と鈴木彩艶(浦和ユース)は若原の活躍に刺激を受け、翌日の練習に臨んでいた。

「智哉が良いプレーをしたら、僕たちも刺激になります。それに、あのように智哉がチームを救うプレーを見せると、僕も同じキーパーとしてうれしい。僕と彩艶も良いサポートができたかなと思うし、次の試合は誰が出るか分からないので、また切磋琢磨していきたい」

 そのように語る茂木が強調するのは、「キーパー3人でのチームみたいなものがある」ということ。そのため、エクアドル戦で活躍した若原はポジションを争うライバルでもあるが、刺激は受けつつも「悔しい気持ちは全くない」と話す。

 実際にエクアドル戦へ向けて、学年が年上の茂木は若原を「いつも通りの智哉だったら全部止められるから、頑張って!」と送り出した。「智哉はアジア予選でも戦っているぶん、僕たちより(大きな大会に)慣れているので、落ち着いてやれていると思った」と言うが、大舞台のピッチに立つ若原の背中を、茂木の信頼感あふれる言葉が押していた。

 茂木は大会に参加している各国のGKについて、次のように印象を話す。「イタリアにはミランのキーパーがいたり、他にもトップレベルでやっている選手がいる。海外のキーパーは構えだったり、雰囲気や体つきもしっかりしていて、レベルはすごく高いなと、あらためて思いますね。そういったトップレベルのキーパーから、いろいろなものを吸収していきたい」

 それでも、日本代表のGK陣には信頼関係がある。「刺激し合いながら、サポートし合いながら、良い関係を築いていきたい」と語る茂木を中心とした“GKチーム”の絆は、エクアドル戦で若原が示したように、日本代表が世界の強豪国と渡り合っていく上で欠かせない要素となる。

取材◎小林康幸