川崎Fが快勝した。前半から持ち前のパスワークで湘南を圧倒し、ゲームを支配した。21分に阿部浩之が先制点をマークすると、37分には知念慶が2点目を決めた。後半は追加点こそ奪えなかったが、主導権を握り続けて、危なげなく試合を終わらせた。3連覇を狙う王者はこれでリーグ戦4試合負けなし。いま勢いに乗るチームを支えているのは、覚醒した大卒3年目のストライカーだ。

上写真=川崎Fの2点目を決めた知念(右)。左は先制ゴールの阿部(写真◎J.LEAGUE)

■2019年4月19日 J1リーグ第8節
川崎F 2ー0 湘南
得点:(川)阿部浩之、知念慶

日本代表へ意欲「入りたい」

 知念の勢いが止まらない。3月31日の5節・松本戦(○2-0)で今季初得点をマークしてから、4試合連続でゴール。37分、湘南の守備陣が乱れたスキを見逃さなかった。オフサイドラインをかいくぐると、GKのポジションを見ながら右足で落ち着いてゴール左隅へ。

「狙いどおりでしたね。(スルーパスを出した)奈良くんと目が合って、相手DFと駆け引きして裏へ抜けました。練習からずっとやっている形です」

 大卒3年目のストライカーの言葉には自信にあふれていた。点を取るだけではなく、川崎FのFWとしてきっちり仕事をこなしている。がっしりとした177センチのFWは、当たり負けすることもほとんどない。湘南の守備陣に激しくマークされても、頑強な体でブロックしてボールを守り、前線で基点をつくっていた。今季は持ち前の強さに加え、パスを引き出す動きも巧みになっており、攻撃のリズムを生み出している。

「昨年の自分とはまるで別人。よく分からないのですが、落ち着いています。自信がついたんだと思います」

 スタンドで観戦していた日本代表の森保一監督にも良いアピールとなったはずだ。本人も「入りたいという気持ちはある。ここまで結果を残しているので」と意欲を燃やしている。

 ロンドン五輪得点王のFWレアンドロ・ダミアンをベンチに追いやった24歳の貢献度は計り知れない。知念がゴールを挙げたリーグ戦は、いまだ負けなし。序盤から引き分け続きだった王者のエンジンがようやくかかってきた。3連覇へ向け、急成長するゴールゲッターが起爆剤となっている。

取材◎杉園昌之