5月に『FIFA U-20ワールドカップ』を控えるU-20日本代表は、大会に臨むメンバー発表を前に4月14日から16日までトレーニングキャンプを行なった。最終日の16日は全日本大学選抜チームと練習試合。前半に安部裕葵(鹿島)がPKで先制点を決めたが、その後同点に追いつかれ、1-1で引き分けた。

上写真=センターバックで45分間出場した関川(写真◎小山真司)

「全然意識していなかった」代表招集

 負傷離脱者に代わって急きょ追加招集された鹿島のDF関川郁万が後半の45分間に出場し、持ち味を見せた。対人守備や空中戦で存在感を発揮し、ビルドアップでも丁寧にボールをさばいた。

「こうやって(急に代表に)呼ばれて、チームにポンと入ったけれど、良いアピールができたのではないかなと思います」と、本人も手ごたえを得た。

 所属する鹿島は14日のJ1・FC東京戦を終え、この前日はオフとなっていた。AFCチャンピオンズリーグとの連戦もある中でのつかの間の休日を友人と満喫していたようだが、そこに一本の電話が入り、みんなで驚いたという。

「急に電話がかかってきて、『何かな?』と思ったら代表招集のことで。みんなもびっくりしていたし、俺も最初は(状況が)よく分からなかったです(笑)。自分では入るとは思っていなかったし、(U-20代表のことは)全然意識していなかったので」

 ただ、そんな関川をU-20代表に推す人物がいた。この日の練習試合でキャプテンマークを巻いた鹿島の先輩・安部裕葵だ。「裕葵くんは毎回(U-20代表に)行っていて、『郁万なら普通にやれると思うけどな』って言ってくれていた。それでも意識はしていなかったけれど」と、鹿島でのやり取りを明かす。

 そして、実際にU-20代表チームに加わった。この日は前後半で、安部と入れ替わっての出場となったが、後半のピッチへと向かう際には「声を出して頑張れ」と背中を押されたという。

「鹿島で結果を残さないと、本当の意味でアピールはできない」

 U-20ワールドカップまで、およそ1カ月――。

「この年齢で世界を経験できるのは、なかなかないこと。日本のこの年代の中から二十数名しか選ばれないので、一つの自分の体験として出場できたらいい。ただ、俺は鹿島で結果を残さないと、本当の意味でアピールはできないと思うから、(まずは)鹿島でレギュラーをつかむために日々の練習を頑張っていきたい」

 関川は自身の現状を見つめ、あらためて今やるべきことを確認し、安部とともに鹿島へと戻っていった。

取材◎小林康幸