上写真=ボリビア戦はスタメン出場となった安西。73分までプレーした(写真◎早浪章弘)
■キリンチャレンジカップ2019
日本 1-0 ボリビア
得点=(日)中島翔哉
「刺激的」だった10日間
「すごく刺激的だったし、もっとやらなければいけないことがはっきりした」
ボリビア戦の試合後、報道陣に向けて放った最初の一言が、安西幸輝にとって初選出となった日本代表での10日間を物語っていた。
鹿島での2シーズン目となる今季、開幕からフル稼働した。2月19日のACLプレーオフ・ニューカッスル戦(○4-1)から始まり、代表ウィーク前のJ1第4節札幌戦(○3-1)まで、1カ月間で公式戦7試合を戦った。そのうち6試合は先発フル出場。序盤のチームにおいて不可欠な存在となった。J1第3節湘南戦(○1-0)では自らの決勝点でチームに勝利をもたらし、DFの選手として「(今季初めて)無失点なのが一番うれしい。これが鹿島らしいサッカーだと思う」と喜んだ。
湘南戦と、その4日前に行なわれたACL第1節ジョホール・ダルル・タクジム戦(○2-1)での活躍が大きな手応えとなり、安西の脳裏に“代表”の2文字が浮かんだ。
「正直に言うと、(日本代表に)入るかな? とは思っていましたよ。ジョホール戦と湘南戦では、自分にとって良い試合ができたので、予感はありました。(湘南戦では決勝点を決めて)結果を出すことが大事だと、よく分かりました」
3月17日の札幌戦を終え、すぐさま横浜での日本代表合宿に参加した。報道陣の取材に応じた合宿2日目の練習後には、開口一番に「すごく緊張しています」と一言。「香川(真司)さんとか、乾(貴士)さんとか、これまで一緒にプレーしたことがない選手のクオリティーの高さにびっくりしました。久しぶりにこういった緊張感の中でサッカーをしている感じです」と、表情は硬かった。
その中で、かつてのチームメイトも共に選ばれたことは、安西にとって大きな喜びだった。「(中島)翔哉くんには小さい頃からめちゃくちゃ鍛えられた。ハタ(畠中槙之輔)は小学生からずっと一緒にやってきた仲間で、こんなに早く(また一緒に)サッカーできるとは思っていなかった。(小林)祐希くんにはまだ怖さがありますけれど(笑)。すごくうれしいです」
そんな東京Vの育成組織で育った4人が、ボリビア戦では同時にピッチに立った。わずか7分間ではあったが、「昔から一緒にやっていて、お互いのクセも分かる。短い時間でしたけれど、一緒にやれたことは僕にとってすごく大きいこと。次は、もっと長く一緒にプレーできるように……」と、感慨深そうに言葉を紡ぐ。
この試合では、個人では畠中と73分間、小林と68分間、中島とは12分間、一緒にプレーした。
「ハタとは小学5年生のときからずっと一緒にやってきて、ここで再会して、一緒に日の丸を背負って……。自分とハタの代表ユニフォームを見たときに、ここまで来られてよかったと思いました。ハタはとてもパス精度が高い選手なので、すごくやりやすかったし、感謝しかないですね。もちろん、ハタだけではなくて、祐希くんと翔哉くんにも。翔哉くんは今日、気を遣って(後方に)下りてきてくれた。翔哉くんをもっと前で仕事をさせるためにも、俺とハタがもっと頼れる存在にならなければいけない。この4人が(代表に)定着するために、一人ひとりのスキルをもっと上げないと。(代表に)残るために頑張っていきたいです」
代表で見えた課題
初めて日本代表でプレーした2試合と、代表レベルの選手たちとともに過ごした10日間は、安西にとって刺激的な日々となった。
89分からの出場となったコロンビア戦では「スピード感が全然違う。自分がもっとやらなければいけないと感じた。危機感を持ちました」と、国を背負って戦う舞台のレベルの高さを実感した。「そのレベルに対応できないと、今後は呼ばれなくなると思うし、代表に呼ばれたときには、そのプレースタイルに合わせられるようにならなければ」と、自らに課題を与えた。
「継続して(代表に)呼ばれることが大事」。そのために、守備では「対人がすごく大事になる。頭を使って守らなければいけない」、攻撃では「自分の持ち味をもっと出さないと、得点に絡むことはできない」という。肌で感じた代表レベルとの“差”を縮めていくために、これからどのように自らのレベルを高めていくのか。
「鹿島の試合で、見せていきたいと思っています」
力強い一言を残し、安西は再び鹿島での日常に戻る。
取材◎小林康幸