日本代表に初招集されたDF安西幸輝。鹿島では昨季アジア制覇を経験し、今季も公式戦全試合に出場するなど、活躍している。そんな安西が、初めてとなる代表のトレーニングで感じたこととは――。そして、南米勢と戦う2試合への決意を語った。

上写真=日本代表の合宿2日目。安西はヴェルディユースの先輩・中島翔哉らとウォーミングアップを行なった(写真◎サッカーマガジン)

「翔哉くんにはめちゃくちゃ鍛えられた」

 合宿2日目のトレーニングが終わり、報道陣の前に現れた安西幸輝は、開口一番に「すごく緊張しています。久しぶりにこういった緊張感の中でサッカーをしている感じ」と、心情を吐露した。昨季、鹿島で共にプレーした昌子源(トゥールーズ=フランス)や西大伍(神戸)ら、「顔なじみの選手がたくさんいる」と言いつつも、「香川(真司・ベシクタシュ=トルコ)さんとか、乾(貴士・アラベス=スペイン)さんとか、これまで一緒にやったことない選手のクオリティーの高さにびっくりしました」と、本音を口にした。

 また、安西と共に東京ヴェルディの下部組織で育った、いわば“ヴェルディ育ち”の選手も招集されている。名前を挙げるならば、すでに日本代表の主力として活躍している中島翔哉(アルドゥハイル=カタール)や、小林祐希(ヘーレンフェーン=オランダ)、安西と同じく代表初選出となった畠中槙之輔(横浜FM)だ。

「(中島らと一緒にプレーできることは)すごくうれしい。特に(中島)翔哉くんには、小さい頃からめちゃくちゃ鍛えられていたので。(中島は)サッカーが大好きな少年みたいな感じ。毎日1対1をやっていたし、本当にこの人以上にサッカーが好きな人はいないんじゃないか、と思っています。ハタ(畠中)なんかは、小学生からずっと一緒にやってきた仲間。こんなに早く(また一緒に)サッカーできるとは思っていなかった。『お互いに(今後も代表に)残れるように頑張ろう』と話ました。(小林)祐希くんにはまだ怖さがありますけれど(笑)」

 共に緑のシャツをまとって成長してきた仲間たちとの再会を感慨深そうに話す。

 ただ、単に再会を楽しむために代表合宿に参加しているわけではない。招集されたからには、試合で活躍することが目標となる。

「自分としては攻撃的に、アグレッシブにやること。(日本代表は)2列目の3人がすごくアグレッシブに、どんどん(前へ)行くので、それを追い越す動きを(森保一監督に)求められていると思う。だから、それを前面に出していきたい。経験はまだ全然ないけれど、そのぶんフレッシュさはあるので、まずは試合に出て結果を出すことが大事になる。それに、うまい人たちとサッカーをして、その中で試合に出て、活躍したい気持ちもどんどん出てきています。これが(日本代表の)レベルというのは誰しもが分かっていることだし、そういう(うまい)選手たちにも負けないようにやっていきたい」

「キンテロと再戦したかったけれど……」

 この3月の代表ウィークでは、22日にコロンビア(横浜)、26日にボリビア(神戸)と対戦する。どちらも南米でしのぎを削る強豪国だ。だが、安西にとっては、南米勢との試合はすでに経験済み。昨年12月、アジア王者・鹿島の一員として臨んだクラブ・ワールドカップで3カ月前は南米王者のリーベルプレートと戦った。その試合は0-4と大敗を喫しただけに、安西自身はそれからの成長ぶりを確かめる機会ともなる。

「コロンビア戦ではキンテロ(リーベルプレート=アルゼンチン)と再戦したかったんですけれど、ケガをしてしまったようですね。でも、他にもすごくタフで、クオリティーの高い選手がそろっていると思うので、コロンビア戦もボリビア戦も、どちらも試合に出られるようにやりたい。(クラブ・ワールドカップのリーベルプレート戦で)攻撃は通用する部分があったと思うので、そこは出していきたいし、守備の面でも3カ月前とは違うところを見せたい」

 クラブ・ワールドカップでマッチアップしたMFキンテロは直前の試合でケガを負い、来日メンバーから外れたが、コロンビアにはハメス・ロドリゲス(バイエルン=ドイツ)やファルカオ(モナコ=フランス)など、他にもスター選手がいる。ボリビアだって決して侮れる相手ではない。実力国との対戦を心待ちにしている。

 代表デビューを待つ安西を、鹿島のキャプテンを務める内田篤人は「見てこられるものを見てきたほうがいい」と言って送り出したという。

「(内田が言うのは)たぶんクオリティー、質の部分。(クラブ・ワールドカップで経験した)あの強さが(南米勢の)標準だと思うし、(今回も)あの質で来ると思う。あれからまだ3カ月ですけれど、(安西自身も)違いを見せられるように頑張りたい」

 UAEで味わった悔しさをバネに成長した姿を、日の丸のピッチで見せつける。

取材◎小林康幸