12年ぶりのJクラブとの対戦で同点ゴールを決めた本田
写真Getty Images

■2019年3月12日 AFCチャンピオンズリーグ GS第2節
広島 2-1 メルボルン・ビクトリー
 得点者:(広)東俊希、渡大生
     (メ)本田圭佑

 広島とのAFCチャンピオンズリーグに先発し、クラブの選手として12年ぶりに日本でプレーしたメルボルン・ビクトリーMF本田圭佑が、0-1で迎えた71分に同点ゴールを記録。終盤に勝ち越されて勝利こそ逃したが、注目の一戦で結果を出した。試合後もJリーグの印象や若手へのメッセージなど、興味深い言葉を残している。

「俺がいたときから変わっていない」

 開始3分に先制されたメルボルン・ビクトリーは、前半から本田が積極的にシュートを放つなど同点を狙っていたが、なかなか決められずにいた。しかし71分、DFストーム・ルーが右サイドでフリーになってパスを受けると、本田がゴール前に猛然とダッシュ。グラウンダーのセンタリングをスライディングシュートで蹴り込み、鮮やかにネットを揺らした。

 試合後、取材エリアに姿を現した本田は、終盤に勝ち越されての敗戦を「残念ですけど、やれることはやったので、仕方ないという感じですかね。残念は残念です」と振り返った。ゴールシーンについては「あの5分間くらい(ポジションが)トップ下になって、1回もボールに触れず、ちょっと焦れていたんですけど、しびれを切らしていたタイミングで、あの場面が来た。来ると信じて、とりあえず走った。たまたま来た感じですね」と振り返っている。

 12年ぶりのJクラブとの対戦で、あらためて感じたこともあったという。「これだけを見ても全部分からないけど」と前置きした上で、「最近はイニエスタが来たので、たまにヴィッセルの試合を見る。やっぱり、俺が(名古屋に)いたときからスタイルはあまり変わっていないという印象」と語り、「相手の嫌なことをするディフェンスとか、戦術的に成熟していないという印象が強い。何と表現したらいいか分からないですけど、どのチームも割と、とりあえずつなぎたいのは分かる。攻撃はいいんですけど、ディフェンスで色を出すチームがもうちょっと増えても(いい)」と持論を展開した。

 さらに「ディフェンスで色を出すということは、攻撃でやりたいことを出せない可能性があって。でも、そこを挑戦しないと、違う次元の選手にはなっていけないと思っている。そこを、どれだけ理解するかですよね」とコメント。「Jリーグにいると、なかなか難しいので、僕はずっと海外に行け、と(言っている)。まだJリーグに居座るのは早いと思いますけどね。日本の若手の話です」と、自らの経験を踏まえて提言した。

 その理由については「というのも、(ヴィッセル神戸オーナーの)三木谷さん(浩史)みたいな人がJリーグにとって、ものすごくありがたい動きをしてくれていますけど、それがもう少し進んだとしても、日本がドイツのリーグみたいに、移籍することなく、自国でやっていても十分、ワールドカップ優勝を目指していけるリーグになるには、まだ時間がかかる」と説明し、「目先(の話として)、どう考えても海外に出て経験を積んだ方が、選手としては伸びるでしょう」と自らの経験を踏まえて語った。

 このほか、試合当日に開幕まで500日となった2020年東京五輪までの過ごし方について「ノンストップですよね。ケガが本当に最大の敵。ケガなくやれれば絶対に出られる。出るだけじゃなく、本当にメダルを取りにいける。そういうプロジェクトで、いま動いている」と語り、オーバーエイジ枠での出場に、あらためて強い意欲を示した。12年ぶりの日本でのプレーで、試合中はもちろん、試合後のコメントでも強烈なインパクトを残した一戦となった。

取材◎石倉利英 写真◎Getty Images