上写真=J王者川崎との一戦で先発したアジア王者鹿島の町田(写真◎J.LEAGUE)

 開幕戦で昇格組の大分に敗れた鹿島にとって、この日のJ王者・川崎Fとの一戦は負けられない戦いだった。結果は1-1の引き分け。勝ち切ることこそできなかったものの、前節に比べて、とくに守備面が安定していた。そしてその中心の一人として存在感を示したのが、この試合で先発のチャンスを得た若きCB、町田浩樹だった。

スンヒョン負傷で先発果たす

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 前節、CBで先発したチョン・スンヒョンが負傷でベンチ外となり、21歳の町田浩樹が先発に名を連ねることになった。この若きCBは、190センチという体格を生かしたエアバトルで相手の長身FWレアンドロ・ダミアンと渡り合い、川崎Fが得意とする複数人が絡むパスワークにも粘り強く対応してみせた。CBコンビを組む犬飼智也との距離感を意識しながら中から外へと相手を追いやる守備を徹底。90分間にわたり、安定した守備を披露した。

「引き分けなんで満足できる結果ではないですけど、チーム全員で一体感もって戦えたので、そこはポジティブにとらえたいと思います。精度の高いFK(のチャンス)を与えてしまったことは反省点ですけど、ただその状況から追いつけたことが大きかった。第1節は後ろのリスク管理から失点しているので、そこは集中してやれたかなと思います。1試合通して流れから点を取られたわけではなかったので、そこもポジティブにとらえています」

 チームは中村憲剛に直接FKを決められ失点したが、オープンプレーからはゴールを許さなかった。伊藤翔のゴールで追いついたあとは、いっそう堅く、厚く、集中して守り、川崎Fの攻撃を封じ込めた。その中で町田は「最終ラインのコントロールを意識した」。チーム状況の中で中心として振舞う意識が芽生え、意欲も持っている。

「今年はやっぱり、(昌子)源くんだったり、(西)大伍さんだったり、(小笠原)満男さんが抜けて、この試合がどいうこうというより、責任感を十分に感じています」

 アントラーズというチームはこれまでも主力が抜けたあと、それに代わる選手が台頭して常勝チームであり続けてきた。昨季途中に植田直通が移籍し、今オフには昌子も移籍した。それでもクラブが代わりとなる経験豊富なCBを獲得せずにいたのは、町田ら若い選手が成長し、そのポジションを埋められると考えているからなのだろう。つまりは、新しいサイクルの始まりということ。
 本人は、そんなクラブや周囲の期待をどう感じているのか。

「期待感というよりは、自分の使命感のほうが強いかなと。やらなきゃいけないと自分自身でも言い聞かせています。スンヒョンがケガして代理という形で(試合に)出ましたけど、やっぱりこういう試合でも勝ち続けることが大事ですし、何よりディフェンスの選手なんで無失点を続けることが必要だと思います。その先にタイトルがあって、そのピッチに(自分が)立っていれば、(自分も)満足と言えるんじゃないかと」

鹿島で出続ければ五輪に留まらずA代表も

 190センチというサイズがあり、しかも左利き。世界でも希少なCBである町田は、クラブの期待が大きいのはもちろんのこと、東京五輪世代ということもあり、日本を背負う存在になり得るという点からも期待されている。一生に一度あるかないかの自国開催の五輪まであと1年あまり。代表については、どんな思いを抱いているのか、町田に聞いた。

「もちろん、自分の代で自国開催(の五輪)があるというのは意識しています。ただ、アントラーズで結果を出し続けないと代表には呼んでもらえないと思いますし、アントラーズで出続けていれば、五輪代表に留まらず、A代表にも行けると思うので、まずチームで結果を出し続けないといけないと思っています」

 では、アントラーズで出て続けるためにはどんなことが必要になると考えているのか。

「こういう苦しい試合で勝てる力をもっともっとつけていかないといけないと思います」

 さらに、この日はオフサイドの判定で取り消されることとなったが、セットプレーの局面でゴールを決められる空中戦の強さも、鹿島のCBには必要だと町田は言う。

「アントラーズのCBとして(空中戦の強さは)伝統的なところだと思うので、決めます、次は。(あれはオフサイドだった?と質問され)(土居)聖真くんのオフサイドとはロッカーでは言っていたんですけど、映像はまだ見ていないので。先ほど(取材で)秋田(豊)さんもいらしていましたけど、秋田さんだったり、岩政(大樹)さんだったりのように、こういう苦しい試合でCBが点を取れるとチームが楽になりますし、そこはまだまだ(自分の)課題かなと思っています」

 町田自身が理想とする『鹿島アントラーズのCB』になるためには、「アジリティやビルドアップの面も成長しなければいいけない」と話していたが、少なくとも理想のCBになる資質があることは、この日の試合で示してみせた。

「(チームで)自分がやらなきゃいけないという状況になったと思いますし、そこはしっかり受け止めています」

 そして覚悟も、自覚もある。町田から『代理』の冠が取れる日は近いーー。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE