上写真=ゴールを決めた大迫勇也と握手をかわす森保一監督(写真◎福地和男)

 近年、アジアで負け知らずだったイランを破り、宣言して通りにファイナルにチームを導いた森保一監督。試合後の会見の要旨をここに掲載する。とくに、決勝に向けての見通しを語っている部分に、指揮官の信条が見て取れる。「どちらかだけ、何かだけではなくて、色んな戦いを、選手たちが試合の中で対応力をもって臨機応変にやってくれた」。対応力と臨機応変さ、つまりは戦いに柔軟性や幅がなければ、アジアでも世界でも戦えないということだ。そして、まさしく今大会の日本を象徴するような考えも口にした。それは「理想を持った上で現実と向き合う」ということだ。

勇気を持ってチャレンジしてくれた

■イラン評
「イランは今大会もそうですし、これまでの戦績、結果はアジアの中でも優れていて、手強い相手であること、厳しい戦いになることを覚悟して戦いに臨もうと思っていました。選手たちが良い準備、戦う姿勢を持ってチャレンジすることと、われわれが(ここまで)勝ってきた自信をもって試合を戦い抜いてくれて、勝利することができ、良かったと思います。
 スタジアムはアウェーの雰囲気でしたが、たくさんの日本人や日本を応援してくださる方がいらっしゃって、メディアを通して、日本でも多くの方々が日本代表を応援してくださったと思う。われわれ日本代表を応援してくださった方に、選手たちがファイトする姿勢を見ていただき、勝利をお届けすることができてうれしく思います」

■これまでとの違い
「(これまでの試合との変化を問われて)何が変わったか、まず教えていただきたいです。私が言うと答えが決まってしまうので、あとで教えてください。
 変わったこと、変わらなかったこと、ともにあると思いますが、基本的にはあまり変わらないと思っています。それは何か言うと、選手たちが相手に敬意を払う、相手を知った上でわれわれが持てる力を最大限発揮していく。それが個であってもチームとして持てる力をすべて発揮しようというところと、選手たちが今日の試合を勝利にこだわって戦い抜いたことは、変わらなかったと思う。
 試合の入りに関して、変わったことと言えば、相手が身体能力、フィジカルの強さを生かして攻め込んでくるというところで、選手たちが戦う姿勢を持って、(試合の)入りからアグレッシブにプレーしてくれた。そこはこれまでと、試合の展開が変わったかなと思います。
 何よりも選手が今日、考えて意識を持って臨んでくれたというところでは、バトルのところでしっかりと戦うということ、セカンドボールをわれわれが粘り強く拾って守備をするという部分、攻撃についてはプレッシャーがある中で後ろからボールをつないで前線に配球してくれたことで、攻撃の良い形が生まれたと思います。ですから、今日のようなシビレる試合の中ではなかなかボールを握るということは難しいと思いましたが、選手たちがそこは勇気を持ってチャレンジしてくれました」

■決勝へ向けて。
「(これまではEURO2004のギリシャのように守備的だったという話を受けて)われわれをどう例えられたとしても、チームやサッカーの見方は千差万別。どういう見方をされても自由だと思っています。そしてギリシャの戦い方はネガティブでは全くないと思いますし、今日の戦いの中で、われわれは攻撃でも守備でもアグレッシブにプレーすることができましたが、守備の部分では粘り強く相手にやらせない、相手の攻撃を防ぐということもできたと思っています。
 どちらかだけ、何かだけではなくて、色んな戦いを、選手たちが試合の中で対応力をもって臨機応変にやってくれたことが今日の勝利につながったと思います。ですから決勝の舞台でもわれわれがやるべきベースの部分をしっかりと持って、理想を持った上で、試合の中で現実と向き合ってプレーしてもらえればと思います」

■負傷交代した遠藤航の状態
「左もも裏に痛みがあると報告を受けています。そこで交代になりました。彼にかけた言葉は、これまでよく戦ってくれていたので、『よく戦ってくれた』ということと『この試合、勝つから』と声をかけました。本人に届いたかどうかは分かりませんが」