上写真=関東2部リーグで得点王に輝いた大橋。湘南への加入が内定している
写真◎飯嶋玲子/関東大学サッカー連盟

「まだ、もっと走れる」

 昨季、関東大学2部リーグで13ゴールをマークした点取り屋は、今季も絶好調だ。21ゴールを挙げ、得点王となった。

 今年は2部リーグに在籍しながら全日本大学選抜にも選出された。当然、プロのスカウトも放っておくはずがない。複数クラブが獲得に名乗りを上げ、6月には湘南への内定が発表された(※特別指定選手ともなり、J1最終節名古屋戦・△2-2でJデビューも果たした)。ストライカーとしての評価は高い。巧みに裏へ抜け出してネットを揺らしたかと思えば、クロスからのゴールもお手のもの。がむしゃらで、ゴールの意欲がプレーににじみ出ている。

「自分が点を取らないと勝てないと思ってピッチに入るのが好きなんです。だから、フォワードはいいなって」
 しみじみと語る言葉には実感がこもる。幼い頃から少しでもゴールの近くでプレーし、点を取る役どころを希望してきたが、なかなか思い通りにはいかなかった。

 小学生の頃は、主にサイドバック。ジェフユナイテッド千葉のジュニアユース(中学生年代)ではボランチとサイドハーフ。八千代高(千葉県)でも中学校時代と持ち場は変わらず、守備に奔走することが多かった。高校3年のときにようやくFWとなり、中央大へ。しかし、大学に入ると再びボランチに戻った。豊富な運動量と粘り強い守備力を評価されたのだ。球際で戦い、ボール奪取に勤しんだ。
「試合に出られれば、どこでもよかったんで。だから、懸命にハードワークをしていました。前でプレーしたいという思いは持っていましたけどね」

 転機は大学2年生の後期。FWの主軸だった矢島輝一(現FC東京)がケガで欠場し、お鉢が回ってきた。3年生になると、FWに定着し、ゴールハンターとして一気にブレイクする。
「FWで出れば、何とかなると思っていました。ボランチのときからシュート練習をしっかりしていましたから」

 前線からの守備でもチームに貢献している。ボランチ時代に鍛えた鋭いプレスは相手に脅威を与えているが、本人は物足りなさを口にする。
「まだ、さぼっているところがあるので。もっと、走れると思います」

 練習量の多さを気に入り、湘南を選んだ22歳は、すでにプロ選手になる心構えもできている。
「誰からも応援される選手になりたい。人に影響を与えられれば、いいですね。言葉で語るよりも背中で見せたい」

 ポジションがどこであっても、ハードワークを止めることはない。

取材◎杉園昌之

大橋祐紀[中央大4年/FW/湘南加入内定]
おおはし・ゆうき◎1996年7月27日生まれ。千葉県出身。千葉U-15、千葉・八千代高校を経て、中央大へ。昨季は関東2部リーグで13ゴールを挙げた。今年、全日本大学選抜に選出された。178cm、72kg