上写真=オリジナル10以外のクラブでは初となるJ1連覇を成し遂げた鬼木達監督(写真◎毛受亮介)

昨季より向上した「攻撃のための守備」

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 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、鬼木達監督は無表情のまま、ピッチにクルリと背を向けた。先に出た感情は「悔しい」。ちょっと間を置いてから指揮官は周囲の一人ひとりと握手を交わした。
 会見場ではスッキリした表情に変わっていた。
「勝って、または引き分けて(優勝)という形が良かったですけど、(小林)悠も言っていましたが1年間の積み重ねがこういう形に出たと思っています。そこは悔しい思いもありますけど、きょうは喜びたいと思います」

 2位サンフレッチェ広島に勝ち点7差をつけ、2試合を残しての独走優勝劇。ACLとの過密日程になった序盤こそ苦しんだが、ワールドカップ後に再開してからは力強さと勝負強さを発揮した。失点数はここまで「26」。前線からにらみを利かせ、ボールを失ってもすぐに回収する「攻撃のための守備」は昨季より一段階、レベルが上がっていた。

「序盤戦は厳しいゲームもありました。そういうなかでもどういう状況でも、自分たちから崩れることなく自分たちのサッカーを続けていく。それが本当によかったと思います」

 ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ今季。指揮官が選手たちに強く意識させたことは2つあったという。
 1つは「マークされることを承知のうえで、覚悟を持って戦ってほしい」。そしてもう1つは「優勝を意識する」。一時は広島に大きくリードを許したものの、ブレることなく昨季からのベースアップを突き詰めてきた。それが2連覇への近道だと、指揮官自身、その信念を胸に置いてきた。
 しかしきょうは優勝を決める思いが強すぎたのか、チーム全体の動きが硬かった。

「少し大事にいったのかな、と。声は掛け合っていましたけど、なかなかリズムをつかめかったのは実際あった。ただそれでも我慢強く戦ってはいました」

 最後の失点は余計だったものの、悪いままで終わらないのも確かに「積み重ねて」きたものだった。
 リーグ2連覇を達成したのは5クラブ目。オリジナル10以外では初になる。試合後、満員に膨らんだアウェーのスタンドは、「鬼木フロンターレ」の大きな声に包まれていた。

取材◎二宮寿朗 写真◎毛受亮介