上写真=9月のコスタリカ戦に続き、パナマ戦に先発した青山(写真◎嶋田健一)

■2018年10月12日 キリンチャレンジカップ2018 
 (新潟県・デンカビッグスワンスタジアム)
〇日本 3-0 パナマ●
 得点:(日)南野拓実、伊東純也、OG

もっと高い位置で球回しをしたかった

 森保ジャパンにとっての2試合目。パナマ戦でゲームキャプテンを務めた青山敏弘の鋭い縦パスから、南野拓実の先制点は生まれた。前半の立ち上がりから好機をゴールにつなげられなかった日本にとっては、停滞感を払拭する上で大きなゴール。価値ある青山のアシストだった。

「(南野が)いいポジションを取ってくれていたんで。出しただけですね。パスはイメージ通りですけど」

 森保監督による「自分に厳しい選手」という青山評そのままの答え。最終的に3-0で勝利を収めたパナマ戦も、自身の出来にもチームの出来にも、まだまだ満足はしていなかった。

「前にもっと(ボールを)つけたいんですけどね。前に入れられなかった。サイドからサイドからになってしまって。それは別に悪くないですけど、ビルドアップが、もうちょっとうまくいって高い位置での球回しができればいいかなと思っていたんで。サイドにいったときにそこからどうするかも。もうちょっと配球を、ボランチで2人で引き出しながらやんなきゃいけなかったなと思います。
 やっぱり、もっとスペースを使いたかったですけどね。どうしてもサコ(大迫勇也)に収まったあと、スピードアップできなかったなっていうのがあるので。収まったあとに3人目で動くようなテンポやスピード感をチームとして作っていけると思うんですけど、そういう練習もしていますけど、まだまだそこは時間が掛かるのかなと。それでもボールを持ったときは、(原口)元気もアシストしましたし、ああいう怖い選手だから、そこまではもっともっと僕らが作ってあげないといけないなって感じますね」

 前半は確かに、ボランチでコンビを組んだ三竿健斗との呼吸は今一つの印象だった。三竿が所属する鹿島で見せているボールをちらすプレーは見られず、青山自身も攻撃を一気に進展させるワンタッチパスが少なかった。

 ただ、前半終了間際に1点を先行し、迎えた後半はずいぶんと改善される。中央を固める相手に対してピッチをより広く使うようになり、三竿からの展開、青山のボールを引き出して前へつなぐプレーが増えたことによって、日本は何度もチャンスを手にした。

「もう一つ高い位置で、(ボランチが)ディフェンスラインに入るのではなくて、どっちかはボールを触りたいねと話したので、そこで触れるようになってからは(三竿も)サイドチェンジをよくいれてくれたし、そういう話は(ハーフタイムには)しましたね。
 ただチームとして、もうちょっとビルドアップで高い位置まで運びたいですね。縦パスのワンタッチというのはなかったと思うし、そこはもっともっと(チームで)呼吸が合ってくれば出てくると思う」

 今回は9月シリーズと違い、ロシアW杯の主力組が加わった。合宿で本格的に海外組とトレーニングできたのは、2日間のみ。そのあたりの難しさは当然、ある。だが、アジアカップまでに予定されているテストマッチはあと3試合。時間はあるようで、ない。

「(コンビネーションが出来上がっていないと実感した点はあるか?)ありますね。まあ、ありますけど、そんなことを言っている暇もなく試合があるので、そこは試合を含めて上げていかなきゃいけないところだと思う。試合が一番の練習だと思っているし、反省材料もいっぱい出る。(ボールが)前に入った時のスピード感だったりは前回の方がよかったと思う。そこはもっともっと合わせていける」

 離合集散を繰り返しながら、選手たちが共有する要素を増やし、各々の力を引き出し合って、総合力を高めていくのが代表チームの理想形。限られた時間で行なわれるこの難しい作業の中で、スタートからチームを引っ張るポジションとして2試合起用された青山が果たす役割は大きい。

「僕は一個一個の積み重ねだと思っているし、この間の試合があっての今日の試合だと思っているので、やっぱり少しでも良くしていきたい。チームとしてグループとして、とくにこの間、出たメンバーはね。やっぱりアピールしなきゃいけない立場だと思っているので」

 新しい日本代表の背番号17は、その番号の価値を高め、長らく代表をけん引した長谷部誠とはまた違うアプローチで、チームを引っ張っていく。

「自分たちのことは自分たちが一番よく分かっていますし、もっとやらなきゃいけないと思ってます」

取材◎佐藤 景 写真◎嶋田健一