森保ジャパンの初陣でゴールを守った東口(写真◎早浪章弘)

 9月7日のチリ戦が北海道胆振東部地震の影響で中止となり、9月シリーズは11日のコスタリカ戦のみの開催となった。そして今回、日本代表に招集された3人のGKのうち、出場機会を得たのは東口順昭だけだった。むろん、これでレギュラーが確定したわけではないが、チームの初陣のゴールマウスを任された意味は大きい。

「もっと成長していかな、あかん」

 試合開始から日本が主導権を握ったため、コスタリカ戦のチャンスは限られた。結果、東口の見せ場はそれほど多くなかったが、代表経験の浅い選手が多いチームが落ち着いてプレーできるように心を砕いたと東口は言った。

「ピッチの中ではチームを落ち着かすというのを意識していました。キーパーやし、バタバタしていたらあかんと思うので、そういう何気ないプレーですけど、落ちつかしていこうというのは考えていました。クラブチームでもそれはやっていますけど、しんどいときにどんだけ声かけられるかというのは、とても大きい。自分もしんどいときに声をかけてもらったら前を向けるし、そういうところは大事にしました」
 
 特に代表戦だからと気負うことはない。クラブチームとピッチ内における自らのスタンスは変わらないが、常々チームの中で「何ができるか」「何をすべきか」を考えてプレーしている東口とって、チームファーストを繰り返し強調する森保監督の考え方には重なる部分がある。そんな指揮官の初戦、4年後のカタールW杯を目指すチームの初戦でゴールマウスを守ったことに、東口は大きな意味を感じていた。

「結果が問われる立場なのでまずゼロで、というのは第一に優先すべき仕事というか、そこは一番大きいウェートを占めていると思うので良かったかなと思います。4年後に向けて一歩目の試合なんで、そこで試合に出て結果残したのは自信になるし、もっともっと成長していかなあかんと、より思いましたね」

 スコアは3-0。日本の完勝だ。ゴールマウスを預かる選手としては申し分のない結果だろう。だが、試合後の東口はクロスの処理や攻撃の第一歩としての役割など、自身の課題を矢継ぎ早に口にし、向上を誓った。今回は試合に出場したものの、その座が安泰ではないことを知っている。ロシアW杯に至る過程と本大会でベンチを温め続けた経験もある。いま目指すのは、さらなる高みーー。
 そして新しい日本代表の指揮官は、自分を成長へといっそう駆り立てる存在にもなった。

「(合宿を通して)ミスに関して、すごいポジティブな声をかけてくれる、というのが一番思ったこと。(森保監督は)ミスを責めるんじゃなくて、いいチャレンジやったと言ってくれる。自分の中で気がラクといったら変ですけど、次はしっかりチャンレジして成功させてやろうと思える。あらためてすごい監督やなと感じました」 
 
 代表における東口のリスタートは完勝・完封という形で切られた。目指すのは4年後、自らがあの舞台に立ち、日本代表の歴史を上書きすることだろう。

取材◎佐藤 景 写真◎早浪章弘