■2018年8月4日 J2リーグ第27節
千葉 2-3 松本
得点者:(千)船山貴之、指宿洋史
(松)前田大然、岩上祐三、岩間雄大
千葉戦で決勝点を挙げた岩間雄大。攻守両面で大車輪の活躍だった(写真◎J.LEAGUE PHOTOS)
首位浮上以降は5戦負けなし
27節を終えて、松本山雅FCはJ2リーグの首位に立つ。開幕当初は勝ち切れない試合が続き、6節時点で20位まで沈んでいたが、そこから着実にポイントを重ねて22節でついに首位に立った。
4日に行なわれた27節の千葉戦も先制されながら逆転勝ち。首位に浮上して以降の5試合は4勝1分けの負けなしで、安定感とともに勝負強さを示している。
とはいえ、上位陣に大きな勝ち点差はない。1位松本(勝ち点53)と6位横浜FC(勝ち点43)のポイント差は「10」だが、2位町田(勝ち点49)、4位大分(勝ち点44)、6位横浜FCは松本よりも1試合、消化試合が少なく、5位福岡(勝ち点43)にいたっては2試合少ない。まだまだ、団子の状態だ。
2014年のJ1昇格を知り、2015年にJ2降格を体験している中盤の要、岩間雄大は首位に立っている現状を冷静にとらえていた。昇格争いを戦い抜くポイントについて尋ねると、紡ぎだす言葉の一つひとつに、経験者としての説得力が宿る。
「こういう苦しい試合をしっかりと勝ち切るということが昇格するためには重要だと思いますし、どんな状況になっても、もしかしたら勝てない時期が来るかもしれませんが、ブレずにやるということが一番だと思います。これまでやってきたことを信じてやり続けるということが、自分たちにとっては一番なので」
岩間は千葉戦において、チームの3点目を鮮やかなループシュートで決めた。右サイドから前田大然が送ったグラウンダーのクロスは中美慶哉に合わなかったが、ゴール正面に走り込むと、飛び込んでくるGKとDFを視界にとらえてチップキックを選択。自身でも「あまりないプレー」というループシュートは、2-1から3-1とリードを広げたが、終了間際に千葉にゴールを許したため、結果的に決勝点にもなった。
前田不在時に迎える上位陣との激突
28節から松本は、2位町田、6位横浜FCと上位陣との直接対決を控えるが、千葉戦でもその速さでもって相手を苦しめたFW前田大然がアジア競技大会出場のためにチームを離れることになる。指揮官も「うちの武器の一つ」と話す前田の不在時の戦いは正念場になりそうだが、8月終盤の連戦を、岩間はどうとらえているのか。
「確かに大然というのはうちのかなり大きな武器ですけど、国を代表していくわけですから頑張ってほしいです。逆に言えば、代わりの選手にはチャンスなので、心配していません。千葉戦には、セルジ(セルジーニョ)が来てないですけど、中美が出て良いプレーをしたと思いますし、一丸となって戦えている。それを続けるだけです。ほかのチームと(力の)差はそこまでないし、むしろ、ほとんど変わらない。だから、こういう接戦の試合を制していかないといけないし、制していくつもりで臨みます」
首位に立っても、浮かれず、惑わない。危機感を持ち続け、挑戦者として振舞える選手がいるから、現在の松本は強いのかもしれない。岩間のほかにも、2014年の昇格経験者である飯田真輝がいて、岩上祐三がいて、山本大貴がいて、村山智彦がいる。
「今は調子がいいので特にどうということはないですけど、これから難しい時期を迎えたら、年齢的にも言うべきことは言わないと、と思っています」
いくつもの修羅場を潜り抜けてきた強みが、首位に立つ松本を支えている。
取材◎佐藤景 写真◎J.LEAGUE PHOTOS