ここまで10引き分け。着実に勝ち点を積み上げ、J3の4位につける福島。アウェーの相模原戦でも勝ち点1をしっかり手にした(写真◎J.LEAGUE PHOTOS)

 J3リーグ第18節で、福島ユナイテッドはSC相模原と1-1で引き分けた。18試合を終えて10引き分けという驚きの“分け率”で、全カテゴリーを通じて最速の「2ケタ到達」となった。

■2018年7月21日 J3リーグ 第19節
相模原 1-1 福島
得点:(相)ジョン・ガブリエル
   (福)武颯

福島の未来を照らす池田昌生の存在

序盤からペースをつかみ、前半だけでも6本と、シュートにもつなげられていた。16分には今季初先発のGK石井綾が、身長193センチのジョン・ガブリエルに眼前でピタリと合わされたヘディングを弾き出すビッグセーブ。速攻でも惜しい場面をつくり出すなど、福島が良い形で試合を進めていた。

その流れを逃さず、67分にはついに先制。右サイドを抜け出した池田昌生のクロスに武颯が思い切って右足を振り抜くと、相手DFに当たってコースが変わったボールがゴールネットを揺らした。

しかし、チームは既視感に襲われてしまう。先制の9分後、交代出場で入ったスピード豊かなチッキーニョに縦パスで抜け出され、ゴール左からシュートを許してしまう。ファーサイドへの一撃はわずかに枠を外れるように見えたが、走り込んできたジョン・ガブリエルに押し込まれてしまった。

今季5割を超えるという引き分けの多さに、会見では田坂和昭監督も苦笑いした。だが、負け数が「2」というのもJ1まで含めて最少タイ。勝ち点を積み上げているからこそ、4位という好位置につけている。

“好材料”がもう一つ。選手の起用だ。

誰かが戻れば他の選手が離脱と、第11節から始まった6連続引き分けの期間も通じて、選手の負傷が多かった。だが、そのマイナス材料も、多くの選手が出場や異なるポジションを経験するなど、プラスへと変換してきた。その証拠が、前述した今季初先発のGK石井であり、今季2度目の先発で自身最長の87分間の出場とアシストを記録した池田だった。池田はクラブ初の高卒ルーキーで、未来に向けての好材料でもある。

「負荷をかけなければ成長しない」と田坂監督。チームの苦しい状況をバネに変える反発力で、中断期間明けからのさらなる飛躍を目指す。

取材◎杉山 孝 写真◎J.LEAGUE PHOTOS