コロンビア戦で右太腿を打撲した本田。別メニューが続いたが、22日はトレーニング中に笑顔が見られた(写真◎JFA)

選手たちのセネガル評

 グループHで最強だろう。初戦の戦いぶりは圧巻だった。ポーランドはほぼ何もでなかったと言っていい。セネガルの強さは、映像からも伝わってきたと選手は口々に言った。

「(ポーランド戦の映像を見て)上から目線になったらあれやけど、本当にいいチームだというのは感じました。身体能力はやっぱりずば抜けているなと。スピードすごいですね、みんなデカイのに速いし。抜いたと思ってもリーチの長さだったり、普段出ないようなところに足が出てくる。足が伸びるという表現をみんなするけど。 僕らの場合はボール取ったと思ったら、グって伸ばして取り返しにきたり。前の人は抜いたと思ったら抜いてなかったとか。ポーランド戦はそういうのが多かった気がしましたね」

「コロンビア戦のことは忘れた」という昌子源は、こう言ってセネガルの印象を語った。

 キャプテン長谷部誠のセネガル評はこうだ。

「スピードだけじゃないですよね。スピードを含めたフィジカル的なところは間違いなく世界トップレベルですし、かなり戦術も多彩で、この間の試合は2トップでやってましたけど、3トップでやるときもあれば、3バックでやるときもある。実際どういうやり方をやってくるか正直読めない状況ですが、それにしっかり自分たちも対応しなければいけないと思う。セネガルはポテンシャルが高いチームですが、この間の試合では規律も見られた。非常に難しい試合なると思います」

 考え方として、残り2試合のうち1試合に勝つというスタンスもありかもしれない。むろん、ハナから負けを想定することはないが、それほどまでにセネガル強い。長友佑都は最初から「グループで一番強いと思っていた」と話している。

第2戦の攻守のポイントとは?

 では、今回のゲームのポイントはどこにあるのか。指揮官と選手の言葉から探ると、守備面ではブロックの設定場所とアフリカ選手特有の間合いへの対応。攻撃ではパススピード、となる。

「ボールを失った瞬間、前の選手に守備をしてほしいという要求はコロンビア戦から出していましたけど、時にはテクニカルファウルも大事になるかもしれない。俺ら(ディフェンス)も相手が速いからといって、ズルズル下がってたらだめ。相手のカウンターになれば、相手が主導権を握って俺らが後手に回るイメージもあるけど、そこは強気でラインを止める、上げる、とやっていきたい。もちろん時に下がるときもあるけど、ズルズル下がって相手を自分たちのゴールに近づけていたら相手の思うつぼ。より高い位置で止める。ファウルしても高い位置なら。もちろんクリーンに行きますけど。どこもやっている当たり前のことを、当たり前にやりたいと思います」。CBとして第1戦に続いて先発が濃厚な昌子はチームとしての守備スタンスをこう説明した。

 そして西野朗監督は、コロンビア戦の反省も踏まえてセネガル戦を次のように展望した。

「(セネガルは)時間もスペースも与えてくれないですね。敵エンドでは、なかなか(難しい)。ただ、そこで逃げてフレームでボールが動いているだけでは捕まってしまう。積極的に密集にボールを入れていく(ことが重要)。コロンビア戦の前半はセカンドラインにボールが入らなかった。後半はかなり修正できましたけど、そういう中盤の選手たちの距離感のなかで、相手は組織的なディフェンスですけど、その密集の中にポイントが作れれば。プレーイングディスタンスもそれぞれ広いんで。ボールを早く動かすっていうことを考えないといけないと思います」

 2戦目でもっとも避けたいのは大敗だろう。大量失点は突破を難しくする。借りに敗れても、僅差なら……。ただ、本田圭佑は自身の経験から2戦目で取るべきスタンスに言及する。

「(3戦目で決めて)グループを突破した場合、トーナメントの初戦のダメージが違う。ここからどうコンディションをあげていくかが重要だと思うのでね。2戦目で決められなかった場合、3戦目でもし突破できたとしても、ベスト16でベスト8をかけた試合が消耗した状態になる。そういう状態で挑んだ経験があるので。理想論を言えば、2戦目で決める。(今は)そのためのいろいろ戦略を立てる状態なのかなと思います」

 セネガルは強い。その相手に日本はどんな戦いを見せるのか。試合の状況によっては、勝ち点を得るための、そして決勝トーナメントに進むための、割り切った判断も必要だろう。

取材◎佐藤 景 写真◎JFA