コロンビアとの激闘から一夜明けた20日、日本代表はキャンプ地カザンでトレーニングを行なった。取材に応じた長友佑都は、「次に勝たないと意味がない」と冷静に現状を分析。さらに「セネガルは一番強いと思っている」と次戦に向けて気を引きしめた。

コロンビア戦の勝利に貢献した長友。翌日には早くも6月24日のセネガル戦に目を向けていた(写真◎Getty Images)

一喜一憂していた足もとをすくわれる

 コロンビア勝利の余韻に浸ることはなかった。下馬評を覆す勝利を挙げ、日本国内の盛り上がりを伝えられても「そうみたいですね。南アフリカの時も経験しているので、それに関しては何もぶれることはなく平常心でいます。すごくうれしいことです。ただ、中にいる選手はそれに流されてはいけないなと。この1試合だけで一喜一憂してやると本当に足もとをすくわれる。あくまでもクオリティーを含めて、自分たちが一番レベルが低いと思うので、それは冷静に受け止めないと。10人のコロンビアに勝っただけ。ただそれだけです」と、冷静だった。
 
 大きな勝利には違いないものの、深夜宿舎に戻ってから、4年前の屈辱を経験している香川真司とともに「次に勝たないと意味がない」と話し合ったと言う。

「昨日、真司とは部屋でいろいろ話したりとかリカバリーのプールに行ったりとか。彼もやっぱり勝ったことに対しての喜びというのは感じていましたけど、それよりも次に勝たないと意味ないよいうの危機感のほうが強くて。あとは4年前のコートジボワール戦に負けたあとの感情がいろいろ巡ってきていて、それを二人で話し合いながら。精神的なリカバリーとあたまの整理を兼ねて深夜のプールで。こうだったよねと、あとは今回はこうやるべきだよねと話をしました」

 次に勝ってこそーー。その目はすでにセネガル戦に向けられている。自分でも今回対戦する3チームについて分析してきたと言う長友は、この日の朝にも早速ポーランド対セネガル戦を見ていた。その印象は「フィジカルがあって、スピードがあってというのはアフリカのチームなので分かってましたけど、びっくりしたのは、規律があるというか連動してみんな動いていること。守備の時の意識が高い。彼らが規律を持った時には、どういう対応をしていけばいいのかというのは、なかなか難しいところがあるなというのが正直な感想です」。

J・クアドラードと同じレベルのスピード

 とりわけ気になったのが、マッチアップすることになる相手だった。「前の選手があまりにも速くて、(サディオ・)マネだけではなくて、ミランでプレーしていた(エムバイ・)ニアンという選手もいますし、途中からケイタ(・バルデ)という選手が出てくる可能性も高い。あと、一番驚いたのが、(イスマイラ・)サールという右サイドの選手。まだ二十歳で若いですけど、めちゃくちゃスピードがある。(コロンビアのフアン・)クアドラードもスピードありますけど、同じレベルのスピードがあるなと。これからビッグクラブに行くような選手じゃないかなと。それくらいのポテンシャルがありますね」。

 ではそんな難敵にどう対応していくのか。

「自分の間合いもありますし、これまでのいろいろなビッグプレーヤーと対戦してきた感覚は、自分の中で整理できている部分があるから、それをうまく使いながら(対応したい)」

 南アフリカ大会から今回で3大会連続出場なる長友はヨーロッパでの経験も長く、どの選手よりも経験豊富といえるかもしれない。そんな自分の立場を踏まえ、代表での果たすべき役割についても言及する。

「(南アフリカ大会は)チームとしてカメルーンに勝ったあとも危機感を持っていた。だからあのときは、すごく締まっていた。(マルクス)闘莉王さんとか、(中澤)佑二さんとかナラ(楢崎正剛)さんとかシュン(中村俊輔)さんとか、やっぱり言葉をかけてくれていた。そこは僕もちょっと経験してきた選手としては、経験していない選手にやっぱり伝えるべきではあるかなと思っています」

 長友が言うように、「次から2連敗」では初戦の勝利が無駄になる。初戦の勝利を次につなげて、南アフリカ大会以来の決勝トーナメント進出をーー。

文◎佐藤 景 写真◎Getty Images