ドイツ

ドイツ◎17大会連続19回目:1934、38、54、58、62、66、70、74、78、82、86、90、94、98、2002、06、10、14年 / FIFAランク◎1位 / 監督◎ヨアヒム・レーブ

あまりに厚い選手層ゆえ、マンチェスター・シティで活躍するレロイ・ザネも選外に。23人の精鋭部隊が連覇を狙う(写真◎Getty Images)

圧巻のチーム力も守護神に不安

 今回の予選では組み合わせに恵まれたとはいえ、10戦全勝と盤石の強さを見せた。結果だけでなく、サンマリノなど格下との試合では主力を招集外にして若手を登用するなど、計37選手が出場。3バックと4バックを併用し、従来の3トップだけでなく2トップも試すなど戦術の幅を広げた。  さらに昨年夏には、EURO2016に参戦した主力の多くに休養を与え、これまで代表に縁のなかった選手と、若手選手の発掘の機会を作った。各ポジションの選手を見極め、コンフェレデーションズカップとU-21EUROにそれぞれ振り分けた上で、ともに優勝を果たしている。これにより、選手層が大幅に厚くなったことは疑いようのない事実だ。6月に発表されたFIFAランキングも1位で、優勝候補の一角に名を連ねている。
 不安要素は主将マヌエル・ノイアーのケガか。昨年9月に左足中足骨を骨折して手術した際は、今年1月の復帰が予想されていたが、その後も回復が遅れていた。チームマネジャーのビアホフ氏は「ノイアー欠場のプランBは存在しない。本大会に行く」と話し、23人のメンバーに名を連ねたが、もしも本調子まで上がらなければ、バルセロナで活躍中のマルク・アンドレ・テアシュテーゲンが正GKの座を射止めることになるだろう。正確なつなぎなど攻撃面ではテアシュテーゲンに分があるが、これまでノイアーが再三見せてきた驚異的なシュートセーブがなくなるのは、ボールを保持するがゆえに相手のカウンターを受ける展開が増えるドイツ代表にとっては痛手となるかもしれない。

文◎ミムラユウスケ

メキシコ

メキシコ◎7大会連続16回目:1930、50、54、58、62、66、70、78、86、94、98、2002、06、10、14年 / FIFAランク◎15位 / 監督◎フアン・カルロス・オソリオ

予選で過去最多の勝ち点を獲得、昨年夏のコンフェデ杯では準決勝に進出するなど結果を残している。地元開催の大会以外では初となる8強進出なるか?(写真◎Getty Images)

期待高まる「史上最高」のチーム

 4月初め、FIFAがメキシコのロシアW杯ベスト4入りを発表した。といっても、もちろん試合の結果ではない。チケット販売第2期間中、購入リクエストが多かった国ランキング(ロシアを除く)だ。メキシコは第1期間でもベスト8入りしており、最終的には2万5000人以上が大会期間中にロシアを訪れるといわれている。メキシコ国民は、今回の代表チームにそれだけ期待しているということになる。
 北中米カリブ海予選最終ステージでは快進撃を見せた。6カ国による総当たり戦を史上2度目の首位で通過し、獲得した勝ち点も史上2番目の21。最終節のホンジュラス戦に勝っていれば、02年日韓大会予選でコスタリカが記録した大陸予選史上最多の勝ち点23を超えていたため、「今回のチームはメキシコ代表史上最高」という声がすでに挙がっている。
 だが視野をもう少し広げると、楽観視はいったんストップとなるだろう。大事なグループステージ初戦の相手は、過去W杯で3回対戦して一度も勝ったことがない前回王者ドイツであり、そのドイツに1-4で完敗した昨年のコンフェデ杯準決勝や、0-7という屈辱的なスコアでチリに屈した16年コパ・アメリカ準々決勝を例に挙げ、「現代表は本当の強国には勝てない」という見方もある。  チームが予選と同レベルの好調を保ったとして、6大会連続で敗れている16強の壁を破れるかどうか。選手として成熟期に入っているギジェルモ・オチョア、エクトル・モレノ、エクトル・エレーラ、アンドレス・グアルダード、ハビエル・エルナンデスなど主力のパフォーマンス次第かもしれない。

文◎横井伸幸

スウェーデン

スウェーデン◎3大会ぶり12回目:1934、38、50、58、70、74、78、90、94、2002、06年 / FIFAランク◎15位 / 監督◎ヤンネ・アンデション

ロシアで戦うメンバーに“国民的英雄”の姿はないが、予選プレーオフでイタリアを下した実力は侮れない(写真◎Getty Images)

カリスマが抜けても団結で勝負

 06年大会以来の出場は、プレーオフでイタリアを下す劇的な勝利で達成された。長らくズラタン・イブラヒモビッチ頼みだったチームは、2年前に就任したアンデション監督にハードワークの意識を植え付けられ、一丸となって予選を突破。その一体感はフランス、オランダと同居したグループでの苦しい戦いを通じて高まり続け、大きな力を生み出した。
 基本システムはオーソドックスな4-4-2だが、統制が取れているため、同システムにありがちな隙間を突かれるケースは少ない。プレーオフ2試合を含む予選12試合を9失点でしのいだ事実が、組織的な守備の成果を物語る。仮にピンチを迎えても、ビッグセーブで危機を救うロビン・オルセンが最後尾に控える。アンドレアス・グランクビストとビクトル・リンデロフのCBコンビは相性も良く、右SBのミカエル・ルスティグも頼れる存在だ。
 2列目ではエミル・フォルスベリの創造力がチャンスの源で、セットプレーのチャンスを得れば、セバスチャン・ラーションの正確なキックから得点機が生まれる。両者のスルーパスやクロスに前線で反応するのは、マルクス・ベリ。空陸問わぬCFは、2年前に代表引退を決めた同国歴代得点王イブラヒモビッチから、得点源としてのバトンをスムーズに受け取っている。そのイブラヒモビッチは「ロシアに行く」発言で代表引退撤回が騒がれたものの、巨大なカリスマが抜けた現在のチームは、攻守のまとまりと粘り強さで十分に勝負できる。「俺のいないW杯なんて」と言ったのは他ならぬイブラヒモビッチだが、メンバー入りしなくても、「イブラヒモビッチのいないスウェーデン」は侮れない存在だ。

文◎クライブ・バッティ 翻訳◎山中 忍

韓国

韓国◎9大会連続10回目:1954、86、90、94、98、02、06、10、14年 / FIFAランク◎61位 / 監督◎シン・テヨン

チームの中心はなんといってもソン・フンミン。GKキム・スンギュら、Jクラブ所属選手の活躍にも期待(写真◎Getty Images)

エースを生かしてグループ突破狙う

 最終予選でイランに首位通過を許し、中国にも敗れるなど敗退の危機もささやかれた。残り2試合でウリ・シュティーリケ前監督が解任され、シン・テヨン体制がスタート。その2試合をスコアレスドローで乗り切って突破に導いた指揮官が、まず着手したのは『ソン・フンミンの復活』だった。  最終予選1得点と苦しんだ大黒柱は当時、韓国代表でもトットナムと同じ左サイドが多かったが、シン・テヨン監督は予選突破後の初戦となったコロンビア戦とセルビア戦で、2トップの一角で起用。彼の得点力を全面に押し出す4-4-2のシステムで難敵コロンビアを2-1で撃破し、停滞していたチームの雰囲気を大きく変えた。昨年12月に日本で行なわれたE-1選手権では、大型FWキム・シンウクなどが結果を残して優勝。年明け1月には再び海外クラブ所属の選手を除くメンバーで欧州遠征を実施し、主に守備ラインの見極めを続けた。
 難敵ぞろいの難しいグループに入ったが、指揮官は「ベスト16、もしくはそれ以上を目指す」と、あくまで強気だ。キム・ジンスが負傷した左SBの人材難は頭が痛いが、ソン・フンミン、中盤のキ・ソンヨンという軸が計算できる点は大きなプラス要素。本大会までに4試合を組み、2人の近くでプレーするパートナーを見極めて、グループステージ突破を目指す。

文◎吉崎英治