■グループB
ポルトガル…5大会連続7回目
スペイン…11大会連続15回目
モロッコ…5大会ぶり5回目
イラン…2大会連続5回目

メジャー大会を制した経験を持つスペイン、ポルトガルの2チームとモロッコ、イランの戦力差はやはり大きいか (写真◎Getty Images)

 大方の予想どおり「2強2弱」でほぼ間違いなさそうだ。ポルトガルとスペインのイベリア勢が、仲良くベスト16へ駒を進めるだろう。
 最大の焦点は、いったい、どちらが1位で抜けるか。直接対決で決着するよりも、残る2カ国との対戦における「得失点差」が大きくモノを言うことになるかもしれない。
 今回、ポルトガルはEURO王者としてロシアに乗り込むが、トップ通過の本命はスペインの方か。総合力ではこちらが1枚上手とみる。
 巧みなパスワークで試合の主導権を握る力は、依然として当代随一。しかも、最終ラインにはS・ラモスとピケ、さらに中盤にはブスケツ、イニエスタ、ダビド・シルバと歴戦のツワモノが健在だ。
 そこにイスコを筆頭とする新しいタレントが加わり、高いチーム力を維持している。死角は前線の決め手不足だが、それも格下相手に取りこぼすほどの不安材料ではない。
 一方のポルトガルはC・ロナウドという絶対的な切り札を持つ点ではスペインをしのぐが、安定感はいま一つ。カウンター志向が強く、格下を力で圧倒するタイプでもない。
 サントス監督は、まるでイタリア人のようなリアリスト。格上に強い反面、格下にがっちり守られたときに苦戦しやすい。典型的なトーナメント型のチームとも言える。
 W杯予選で多少、体質改善の跡が見られたものの、ベースは変わっていない。僅差勝負で勝ち切るための権謀術数が生きるのは次のステージへ進んでからだろう。
 ともあれ、モロッコとイランにとっては何とも不運な組分けだ。どちらも主導権を握って戦いたいチームだが、スペインにはボールを取り上げられ、ポルトガルには鋭い速攻を狙われてしまう。
 どう転んでも、持ち味を生かしにくいわけだ。直接対決を制して3位に食い込めば、ミッション完遂か。それくらい2強との「格差」は大きいかもしれない。

文◎北條 聡