5月30日、日本代表にとってワールドカップ前の国内ラストマッチとなるガーナ戦が行なわれ、0-2で敗れた。3-4-2-1の新布陣でスタートし、小気味良いパス交換や果敢なシュートなどでチャンスを作ったが、得点には結びつかず、西野新体制の初陣は黒星となった。

※ガーナ戦で果敢にシュートを撃つ武藤。ゴールは生まれなかったが、随所にキレのあるプレーを見せた。 写真:福地和男/BBM

「サコくんを脅かさないと」

ハーフタイムにピッチへと投入された武藤嘉紀は、後半開始から、ただひたすらにゴールを狙った。放ったシュートの数はチーム最多の3本。そのうちの1本は決定機だったが、ゴールを奪うには至らず「1本は絶対に決めないといけなかった。それはFWとしての仕事なので、反省しなければいけない」と、悔しさを募らせた。

翌日に控えたワールドカップのメンバー選考、そして、その先の本大会でピッチに立つためには、ともにドイツ・ブンデスリーガで戦うライバルを超える必要がある。
「サコくん(大迫勇也)がずっと代表の1トップを務めていたけれど、そこを脅かさないといけないと思う」

前半、ポストプレーやゲームメークなど、1トップの役割を一つひとつこなす大迫のプレーを目の当たりにし、「彼のようにしっかり(ボールを)収めて、盗めるものは盗んで、なお且つ自分にしかできないことをやっていければいいと思う」と、ロシアでの定位置獲得へ決意を固める。

昨年10月以来、7カ月ぶりに日の丸を背負ってプレーした一戦で「(ゴールを)決めていないので、チャンスを生かせてはいない」と歯がゆさを浮かべながらも、「自分なりに出せる力は出した」と、言葉に力を込める。

「今はとにかく待つしかない」
ロシアへ向かう代表メンバー23人が決まる5月31日。西野朗監督の口から“武藤嘉紀”の名が呼ばれることを、今はただ静かに待つ。

 
取材◎小林康幸
 

※武藤は後半のみのプレーとなったが、果敢にゴールを狙い続けた。 写真:福地和男/BBM