■2018年5月13日 J1リーグ第14節
浦和 0-0 鳥栖

鳥栖が今季初の無失点に抑え、2戦負けなしとした。前半から防戦一方の展開になるが、GK権田修一を中心に粘り続けた。後半もペースは変わらず、ビクトル・イバルボ、田川亨介を投入して速攻でゴールを狙いながらもリスク管理は徹底。守備の集中力を切らさず、後ろで耐えて勝ち点1を手にした。浦和は終始ボールを支配して攻め立てたが、最後までゴールを割れなかった。2戦勝ちなしで中位から浮上する兆しが見えない。

「守備の時間が長くなるのは分かっていた」

試合終了の笛が鳴ると、死力を尽くした鳥栖の守備陣は雨で濡れたピッチにべったりと座り込んだ。しばらくすると、仲間同士で握手を交わし、抱き合いながら勝ち点1の重みを噛み締めていた。下を向いてうなだれる浦和のイレブンとは、対照的だった。

3バックの一角として、浦和のシュートを再三ブロックした高橋祐治は確かな手応えを口にした。
「無失点に抑えましたからね」

この日の仕事は自陣のペナルティーエリア内で相手の攻撃をはね返すばかり。サイドから雨あられのように飛んできたクロスを頭でクリア、中央で相手にボールを持たれると体を投げ出してシュートコースを消した。
「きょうは守備の時間が多くなるのは分かっていた。集中しようと話していた。試合中もずっと声を掛け合っていた。こんなに攻められっぱなしの試合は今季初めて」

苦笑しながらも仕事をやり遂げた充実感を漂わせた。鳥栖らしい粘りもようやく出てきたという。攻められても、最後で踏ん張る。ハードワークを怠らず、戦い続けた。
「それがチームの強みなので」
今季初のクリーンシートを達成したセンターバックは言葉に力を込める。

勝ち点はようやく12。順位は17位のまま。依然として降格圏内にとどまっているが、15位横浜FM、16位G大阪の勝ち点15に3ポイント差に迫る。前節の清水戦(○3-1)から徐々に明るい兆しが見えてきた。

試合後、マッシモ・フィッカデンティ監督は堂々としていた。割り切ってゲームプランを立て、浦和戦に臨んだことを明かし、耐え抜いた守備陣を称えた。

「90分間、賢く戦った。相手にボールを持たれているときの集中力は高かった」
堅守の国、イタリアから来た指揮官は、納得の表情で会場をあとにした。

 
取材◎杉園昌之 写真◎Getty Images