アウェーに乗り込んだ長崎は、立ち上がりから積極的な攻撃を仕掛ける鹿島の勢いを止められない。4分には内田篤人のクロスから鈴木優磨にヘディングシュートを決められ、先制点を奪われる。その後は立て直してボール保持率を高めると、18分には田上大地の縦パスを受けた左サイドの米田隼也がゴール前にセンタリングを上げ、鈴木武蔵が同点ゴールを挙げた。30分には金崎夢生にPKを沈められ、再び1点を追う展開に。後半、パスをつなぎながら鹿島ゴールに迫るもネットを揺らせず、1点差で敗れた。

■2018年5月2日 J1リーグ第12節
鹿島 2-1 長崎
得点者:(鹿)鈴木優磨、金崎夢生
    (長)鈴木武蔵

「平常心」で鹿島相手にゴール

18分に見せたヘディングシュートは、ストライカー・鈴木武蔵の真骨頂と呼べるだろう。左サイドの米田隼也のクロスボールが「ちょっとマイナスに来たので、強めにヘディングしないと入らないと思った」と、力強くジャンプをしながらも、しなやかに体をひねってゴールネットを揺らした。「良いコースに飛んでくれた」と自画自賛。鹿島の名手・曽ヶ端準もボールの行方を見送るしかなかった。

リーグ戦では、決勝点を挙げた第7節清水戦(○1-0)以来の先発出場だったが、「特別に意気込むこともなく、自分に『平常心』と言い聞かせて」試合に臨んだ。日本代表DF昌子源とのマッチアップには「素晴らしいDFなので、やっていて楽しかった」と振り返り、2年前のリオデジャネイロ五輪などで共にプレーしたDF植田直通には「やはり良いセンターバックだと、今日あらためて思いました」と称賛する。

「(相手DFの)背後を狙ったり、連動してコンビネーションを出したり、自分の特長をもっと出していきたかった」と反省を口にするも、戦い終えたその表情にはどこか充実感もにじんでいた。

息つく暇もなく、3日後にはC大阪戦が控えている。厳しい日程での連戦は続くが、J1定着に向けて連敗を止めたい一戦だ。「自分たちの良さは忘れてはいけない。アグレッシブにプレーすることや、攻撃面だと前線3人の連動性。その良さなくして勝つことはできない。自分たちを信じてやることが大事」と、3試合ぶりの勝利へ早くも意欲を燃やす。

「成長していかないといけないし、まだまだできるチームだと思う。もっともっとチーム全員で切磋琢磨して成長していきたい。ポテンシャルはすごくあるチームなので」

24歳の快足FWがJ1昇格1年目のチームを牽引する。

 
文◎小林康幸 写真◎J.LEAGUE PHOTOS