勝ち点15で並ぶ東京Vと水戸の一戦は、ホームチームに軍配が上がった。開始早々の10分に、CKから畠中槙之輔がゴールを決めて、東京Vが先制する。その後は水戸に押し込まれるも、堅い守備で同点ゴールを許さない。後半に入り、54分に相手が退場者を出して数的優位に立つと、72分に再びCKからドウグラス・ヴィエイラが加点。終了間際の90分にはカウンターからアラン・ピニェイロが3点目をスコアし、勝負を決した。

■2018年4月21日 J2リーグ第10節
東京V 3-0 水戸
得点者:(東)畠中槙之輔、ドウグラス・ヴィエイラ、アラン・ピニェイロ
    (水)なし

ロティーナ監督「潮音はまだ若い。成長し続けてほしい」

背番号20の右足が、勝利を呼んだと言っても過言ではないだろう。東京Vがこの日挙げた3ゴールのうち、先制点と2点目を生み出したのは、井上潮音がキッカーを務めるCKだった。

「CKで最も重要になるのは、ゴール前で合わせる選手、そしてキッカーです。潮音はセットプレーで非常に質の高い質のキックを持っている」と、ロティーナ監督も井上のキックの精度の高さに太鼓判を押す。

「(水戸は)セットプレーの守備があまり強くないということは聞いていた。1本目を蹴ったときに、ニアサイドよりもファーサイドに蹴ったほうがチャンスになりそうだという感じがあった」と、井上が振り返るように、得点シーンはどちらもファーサイドに蹴ったボールを味方が落として生まれたもの。試合のなかでの見立て通りだった。

ただ、前節まではキッカーとしての苦悩もあった。「昨季の得点の取り方を見ても、やはりセットプレーが多かった。今季はあまりセットプレーからゴールを取れていなかったので、自分が蹴るという“重み”は感じていた」と、結果につながらない責任も感じていた。

それだけに、「今日はセットプレーから2点を取れて、結果的に試合が楽になっている。これからも(セットプレーを)大事にしていきたい」と、その重要性を説く。

まだプレースキック以外に課題も多い。この試合でも78分に途中交代となったことについて、「守備のところで(プレスに)行けなくなっていたところも感じていた。まだまだ90分間出場する体力だったり、(監督からの)信頼だったり、いろいろな力が足りていないかなと思う」と、反省点を口にする。

指揮官も「潮音はまだ若い。(プロになって)3年目の選手だけれど、これからも自分をルーキーだと思いながら、成長し続けてほしい」と、井上のさらなる進化に期待する。

「チームが勝つためにまずはプレーして、そのうえで自分の成長につなげるためにも、日々のトレーニングをしっかりやっていきたい」

伝統の緑をまとって奮闘する20歳は、これからもまい進する。

 
文◎小林康幸 写真◎J.LEAGUE PHOTOS