茨城国際ユース(U-14)大会が3月25日から28日まで、ひたちなか市総合運動公園で開催された。地元の茨城県を本拠地とする鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホックに加え、Jクラブでは柏レイソル、ツエーゲン金沢、さらに茨城県トレセンの2チーム、またオランダからスパルタ・ロッテルダム、韓国から全北現代を迎え、計8チームで争われた。

日韓対決を制した鹿島・福原陽向「PK戦は自信があった」

■決勝
鹿島アントラーズ 1-1(PK5-3) 全北現代
得点:(鹿)菊池快 (全)オム・スンミン
(前後半35分ハーフ。延長戦なし)

セットプレーのチャンスで鹿島の福原(中央)がヘディングシュートを放つもゴールをとらえられず

頂点を争う決勝戦では、激しい肉弾戦が繰り広げられた。
「(全北は)予選リーグでも戦って、勝っている相手だったので、全北は相当な気持ちで臨んでくるだろう」と、鹿島の天野圭介監督が予測したように、リベンジを狙う全北が前半から球際で激しさを見せた。

だが、鹿島の選手たちは怯まない。
「個人で(球際を)勝てなかったら、二人で相手を挟んでボールを奪ったり、全員で戦おう」と、キャプテンのDF福原陽向を中心に団結し、真っ向から立ち向かった。

そして、鹿島が均衡を破る。55分、左サイドのDF小出勇翔からクロスをペナルティーエリア内で受けたFW菊池快が「(ペナルティーエリアの)外から走ってくる味方が見えていたし、無理な態勢だったけれど、ターンして自分でシュートを打とうと思った」と、迷わず右足を一閃。「トラップがうまくいったので、ゴールにつながったと思う」と、待望の先制点を生んだ。「サイド攻撃がチームの強み。そこから得点を取れてよかった」と、菊池は胸を張る。

その5分後、全北に同点とされるも、“鹿島イズム”とも言うべき勝負強さは、育成組織のチームにも健在だった。
「一瞬の隙から失点し、悪い流れになってしまったけれど、そのまま同点で終わらせてPK戦に持ち込もうと話していた。PK戦は自信があった」
福原の言葉通り、PK戦では一人が失敗した全北に対して、鹿島の選手は5人全員が成功。見事に優勝を勝ち取った。

「試合に勝つために何をすべきか。そういったことを日々のトレーニングから積み重ねている結果だと思う。それはトップチームから、僕ら育成組織のスタッフや選手にも受け継がれているもの。僕たちは優勝しなければいけない。トップチームから育成組織に至るまで、すべてそのためにやっている。そういう意味でも、優勝という結果を実現できてよかった。選手たちは、戦術的にも、技術的にも、メンタル的にも、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」
指揮官は国内外の強豪チームがしのぎを削る大会で頂点に立った選手たちへ、惜しみない賛辞を送った。
 

決勝戦を戦う鹿島と全北の選手たち

オランダの名門から2ゴールの柏・真家英嵩「チャンスを決め切れてうれしい」

■3位決定戦
柏レイソル 3-0 スパルタ・ロッテルダム
得点:(柏)真家英嵩2、茂田明伸
(前後半35分ハーフ)

柏の真家⑨はスパルタ・ロッテルダムのゴールへ向かい続けた

FWメンフィス・デパイ(リヨン=フランス)や、MFジョルジニオ・ワイナルドゥム(リバプール=イングランド)ら、オランダ代表選手を多数輩出しているスパルタ・ロッテルダムから3ゴールを奪った柏が3位に輝いた。大会MVPに選ばれたFW真家英嵩は、この試合で2得点を挙げて、勝利の立役者となった。

1点目は開始早々の6分。左サイドバックの細井響からのロングボールに反応した。
「サイドバック(細井)がボールを持ったとき、相手がみんなボールウォッチャーになっていた。一発で(相手DFの)裏のスペースを突けば、いけるかなと思った。良いボールが来て、トラップもうまくいって、シュートも良いところに飛んでくれた。チャンスを確実に決め切れて、先制できたのがうれしい」と、満足気に振り返った。

追加点は13分に、中盤でのテンポ良いパス回しから生まれた。
「これまでも多くのゴールを決めていた形。味方との息が合った」(真家)と、MF宮下夏季のスルーパスに抜け出し、「シュートコースが空いているのが見えた」(真家)と、ゴールへ向けて右足を振り抜いた。

守備の要として後方から得点シーンを見つめていたキャプテンのDF田中隼人は「真家にパスを出したら決めてくれる」と、前半早々に2ゴールを挙げたエースストライカーに全幅の信頼を寄せる。

後半に入ると、「(体格が)大きい選手や、足が速い選手がいる」(田中隼)スパルタ・ロッテルダムに押し込まれるも、柏は持ち前のパスワークで主導権を取り返す。すると、61分にはDF古関凌生が右サイドから上げたクロスに、MF茂田明伸が頭で合わせて3点目を奪取。柏が3-0でスパルタ・ロッテルダムに完勝し、3位に輝いた。

3位決定戦を戦った柏とスパルタ・ロッテルダムの選手たち


■最終順位(上位4チーム)
優勝 鹿島アントラーズ
準優勝 全北現代(韓国)
3位 柏レイソル
4位 スパルタ・ロッテルダム(オランダ)
※全チームとも2003年1月1日以降出生の選手で構成

取材◎小林康幸