■2018年3月4日 J1リーグ第2節
浦和 1-2 広島
得点者:(浦)青木拓矢
    (広)柴崎晃誠、稲垣 祥

広島は逆転勝ちで2連勝。前半は攻守両面であまり機能せずに43分に先制点を許したが、後半から立て直した。途中出場の柴崎晃誠が66分に同点ゴールを挙げると、79分には混戦から稲垣祥が勝ち越し点を決めた。浦和はホーム開幕戦を白星で飾れず、2戦勝ちなし。

「プロサッカー選手は結果がすべて」

広島のリズムを変えたのは、後半途中にベンチから出てきた柴崎だった。ピッチに入った10分後、浦和のGK西川周作が足で弾いたボールに素早く反応し、力強いシュートをゴール左隅へ突き刺した。
「いいところに球がこぼれてきただけ。気持ちで押し込んだ」

開幕戦に続いて、ベンチスタート。昨季は主力としてプレーしていたものの、今季から城福浩新監督となり、まだ信頼をつかみ切れていない。
「先発で試合に出られないのは自分の力が足りないから。試合に出たときに結果で示していくしかない」

33歳の言葉には実感がこもる。この日は、反撃ののろしとなる同点弾だけでなく、攻めのテンポを変える役割も果たした。ロングカウンター一辺倒だった攻撃にアクセントをつけ、逆転勝ちの流れを呼び込んだ。指揮官も、いぶし銀のプレーを評価していた。
「(相手の)間で受けるのがうまく、ワンクッションつけることができる。攻撃の起点になれる」

15年にはリーグ優勝に貢献するなど、クラブの主軸を担ってきた。ベテランと呼ばれる域に入ってきたが、巧みなスルーパスやゴール前に入って行く鋭い動きはさびついていない。何よりもどん欲な姿勢が変わらない。J2の東京Vでキャリアをスタートし、J1の川崎F、再びJ2の東京、徳島と渡り歩き、そのたびに努力してはい上がってきた。14年、広島に加入したときもポジションを確約されていたわけではない。し烈なレギュラー争いを勝ち抜いた結果、いまがある。新監督の下、チーム戦術が変化し、序列も変わった。それでも、前を向き続ける。

「もっとボールに触って、攻撃のリズムをつくりたかった。プロサッカー選手は結果がすべて。試合に出て、判断されるものだから」
どれだけ実績を積んでも、おごりは一切見えない。広島に移籍加入して5年目。慢心しない男の新たな戦いがここからまた始まる。

文◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE PHOTOS