2月21日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でアウェーの水原三星(韓国)戦に勝利(2-1)した鹿島は、翌22日の午前に帰国すると、午後からトレーニングを行なった。水原三星戦に先発出場しなかったメンバーは、約1時間にわたってパス回しなどのメニューをこなした。
「ひとつ勝ててよかった」
いよいよ、鹿島のJ1開幕戦が3日後に迫った。
王座奪還を狙うシーズンのスタートを幸先よく切りたいところだが、清水戦はすでに今季の公式戦3試合目(2月3日に行なわれた『いばらきサッカーフェスティバル』の水戸戦は除く)。Jリーグに先立って始まったACLの第2節・水原三星戦から中3日での一戦ともなり、早くも過密日程を強いられている。
そんななか、まずACLで1勝できたことは、チームにとってプラスだ。
「ひとつ勝てたので、チームとしてよかった」
そう話すのはDF内田篤人だ。上海申花(中国)をホームに迎えた第1節は引き分けたものの(1-1)、J開幕直前の第2節で唯一勝利を挙げたことに安堵の表情を浮かべた。
ただ、本人は今季の公式戦初勝利のピッチに立つどころか、アウェー・韓国への遠征に帯同してもいなかった。
「プレーできる状態ではあったけれど、ケガが続いてしまうリスクをなるべく負わないように、剛さん(大岩監督)と相談して」(内田)、渡航を見送ったという。
2月14日の上海申花戦では、約5カ月ぶりに90分間出場したが、長いシーズンを考慮すると、その判断は妥当だろう。内田もそれを理解し、日本から仲間の雄姿を見届けた。
そして、「Jリーグは違う大会なので、また気持ちを切り替えてやっていこうと思います」と、J1開幕戦に照準を合わせる。
とはいえ、選手層の分厚い鹿島において、必ずしも内田の定位置が確約されているわけではない。「まだ誰が出るかは分からない。みんな良い練習をしているから」と、口にするように、他の選手も先発出場へ向けてアピールを続けている。
水原三星戦で右サイドバックに入った安西幸輝に加え、鹿島で7シーズン目を迎える伊東幸敏も健在だ。昨年のE-1選手権で日本代表に選出された山本脩斗も、左右両サイドバックを高いレベルでこなせる。さらに、ケガで戦列を離れている西大伍が復帰したら、なおさらポジション争いはし烈を極めるだろう。
それでも、その競争を歓迎するのが、内田篤人という男だ。
「今日の練習も、しっかりとできている。みんなもそうですけれど、自分も。(水原三星戦の)残り組(先発以外)でやったけれど、若い選手もちゃんと意識を高く持ってできているから、良いことだと思います」
J1開幕戦の舞台は「カシマがよかった」と本音を漏らすも、『IAIスタジアム日本平』がある静岡市清水区は、内田が高校時代を過ごした“地元”。「高校時代の友達も見に来るしね」と、開幕スタメンの座を勝ち取り、2010年5月5日(対C大阪・1-2)以来となるJリーグのピッチに立ってプレーすることを待ち望んでいる。
王座奪還に向けた鹿島と、そして7年以上の時を経て内田が挑むJ1の戦いが、間もなく幕を開ける。
取材◎小林康幸