新人で唯一、東京V戦に先発出場

沖縄キャンプ中の川崎Fは1月31日、沖縄市の沖縄総合運動公園陸上競技場でJ2の東京Vと練習試合を行ない、昨季得点王に輝いた小林悠の2ゴールなどで4-0で圧勝した。

中村憲剛、大久保嘉人、小林悠のトリオがブランクを感じさせないスムーズな連係を見せるなか、新人で唯一先発に名を連ねた守田英正も存在感を放った。エドゥアルド・ネットとドイスボランチを組み、攻守両面で躍動。前半にするすると攻め上がると、混戦から右足でシュートを放ち、相手DFに当たったボールはゴールに吸い込まれた。

「ボテボテだったんで」と苦笑いを浮かべたが、キャンプでは千葉戦に続いて2ゴール目。司令塔の中村は、機を見て飛び出すタイミングを褒めていた。
「3列目から(ペナルティーエリア内へ)入っていくと、相手も捕まえづらい。あそこに入っていく判断がいい」

今季、流通経済大から加入したボランチは、トップ下の中村が後ろに下がっているのを確認して、前へ飛び出したという。

「点も取れるボランチになれと言われ続けてきたので」(守田)

それでも、持ち味はCBもこなす守備力。中盤の攻防で当たり負けせず、鋭いタックルでボールを奪取していた。鬼木達監督は、その能力を高く評価しており、練習試合では主力組で起用を続ける。キャプテンの小林も「うちのチームにいないタイプ。泥臭くて、中盤でつぶせる」と期待を寄せていた。

ボランチには実績のある大島僚太、森谷賢太郎らも控えているが、選手層のさらなる拡充は必須。今季はW杯イヤーでリーグ戦のスケジュールがタイトになり、ACLも並行して戦う。初のアジアタイトル、そしてリーグ連覇を狙うためには、新たな戦力の台頭も必要になる。守田が昨季の優勝メンバーを脅かす存在になれば、大きなプラスだろう。

「もっともっと学べる」と目をぎらぎらさせる22歳は、キャンプでも成長中。チーム戦術のことで不明な点があれば、最年長の中村らの先輩に助言を請う。「分からないことは、分からないとはっきりと言う」。大学時代に叩き上げでのし上がってきた男は、実直そのものだ。

プロでもひたむきに努力し、着々とメンバー入りに近づいている。

取材◎杉園昌之