両親への恩返しが原動力

「34人中、34番目の選手だと思ってプレーしていた」。清水ユースへと加入した3年前の記憶を、平墳はそう振り返る。

中学時代までは地元の岐阜県でプレー。「高校ではJクラブでやりたい」と希望し、複数クラブのセレクションに挑んだ。しかし、ことごとく不合格となり、最後に残ったのは清水だった。「そこに懸けた」と、並々ならぬ思いで臨んだ結果、見事に合格した。

「1年目は本当に大変な時期だった」。これまでに経験したことのないような高いレベルに苦労したことも明かす。ただ、「レベルの高い環境で経験できることは大きい。そのなかでプレーしていたことで、2年目で試合に出られたときに、自分の特長を生かして結果を残せた」。そして、3年生となりチームのエースFWに成長。U-18日本代表からも声がかかる存在となった。

2018年シーズンのトップチーム昇格が内定しても、おごることはなかった。「関わってくれる人たちが本当に良い人ばかり。恵まれている」と、平墳のサクセスストーリーは、決して自身の力だけでは綴ってこられなかったことを強調する。

もちろん、両親のサポートも欠かせなかった。
「(親元を離れて静岡へ行くことを)両親は賛成してくれた。それに、中学時代は(自宅から)クラブチームの練習場まで遠かったので、いつも送り迎えをしてくれた。自分の時間も使わず、俺のためだけに頑張ってくれた。迷惑ばかりかけたぶん、恩返しをしたい思いは強い」。両親への思いが、活躍するための原動力ともなっている。

「どんな試合でも点を決める。結果を残せば、一番喜んでくれると思っている」

感謝を胸に、次はJリーグの舞台での活躍を誓う。

平墳 迅[FW/清水エスパルスユース/3年]
ひらつか・じん/1999年5月19日生まれ、岐阜県出身。静里小少年団、JUVEN FC 898、SC岐阜VAMOSと進み、セレクションを経て清水ユースへ。トップチームでも活躍が期待されるストライカー。180cm、77kg