準々決勝@浦和駒場 日本文理0-1矢板中央 得点者:(矢)山下

選手権直前にレギュラー獲得

矢板中央を8大会ぶりのベスト4に導く決勝点を挙げた山下純平(2年)について、高橋健二監督は「(起用が)当たりましたね」と頬を緩めた。

新チームの始動時は先発メンバーに名を連ねていた山下だが、次第にポジションを失い、選手権出場を懸けた栃木県予選では出場ゼロ。「勝ったのはうれしかったけど、試合に出たかった」と悔しさを蓄え、予選後は武器であるスピードを生かした縦への突破でアピールを続けた。また課題であった守備面の向上にも取り組み、その変化は、「使われない時期に本人の中で考えることがあったんでしょう」と高橋監督も認めるところ。昨年12月に入ってから主力組に抜擢され、選手権ではここまで全3試合で先発出場を続けてきた。

そしてベスト4進出を懸けた準々決勝、日本文理戦の前半36分に今大会初ゴールを記録。大塚尋斗のシュートが相手GKに弾かれると、自慢の快足を飛ばしてボールに反応し、ダイレクトで蹴り込んだ。「こぼれ球が来ることを信じて詰めていました。ここで決めないとチームが苦しくなると思ったので、ゴールを決められて良かった」。高橋監督が「おとなしい性格」と評したこの日のヒーローは試合後、恥ずかしそうに自らの決勝点を振り返った。

準決勝の舞台は埼玉スタジアム。「小さい頃からあこがれていた舞台」(山下)に立つチャンスを手繰り寄せたスピードスターは、「試合に出られるなら結果を残さないといけない」と、小さな声の中に決意をにじませた。

やました・じゅんぺい/2000年8月16日生まれ、FCV可児出身。積極的な仕掛けで攻撃を活性化するサイドアタッカー。50メートル5秒9の快足が武器。168cm、58kg