3回戦@駒沢 明秀日立1-1(PK5-3)大阪桐蔭 得点者:(明)荒井(大)菊井

「負けたくない気持ちが体を動かした」

80分間で決着がつかず、PK戦までもつれた大阪桐蔭との3回戦。明秀日立の5人目のキッカーに指名された深見凛は、「勝負が決まる大事なキッカーに選ばれたので、絶対に決めてやろう」とペナルティースポットに向かい、ベスト8入りを決めるキックを沈めた。黙々と、泥臭く、目の前の相手を阻み続けたキャプテンが、陽の目を浴びた瞬間だった。

「自分は攻撃力に長けているようなサイドバックではない。チームのために体を張ったり、走ったり、そういうタイプだと思っている」と自負するように、大阪桐蔭戦でも、相手がドリブルで仕掛けようものなら体をぶつけて阻止し、シュートを打たれようものなら捨て身のブロックではね返し続けた。何度転んでも、何度も立ち上がり、明秀日立のゴールを死守した。

この4日間で3試合目。さすがに疲労の色は隠せない。それでも、試合後には「ほんとにしんどかった」と本音を漏らすも、「負けたくない気持ちが体を動かしてくれた。最後は気持ちでした」と満足気に振り返った。

前日の星稜戦に勝利した後、“駒沢陸上競技場”という舞台での3回戦に向けて「1年生のときのことを覚えています。(当時)3年生の先輩たちが駒沢で森島(司・現広島)選手がいた四日市中央工に勝った。会場としては良い印象がある」と、特別な感情を明かしていた。実際に「スタンドを見たら観客が多くて、モチベーションが高まった」と、会場の雰囲気がプラスにも働いたという。

次の準々決勝が行なわれるのも駒沢。そして、その先には夢の舞台が待っている。
「次も勝って、絶対に埼スタへ行きたいです!」
憧れのピッチで、再び陽の目を浴びるために――。深見と明秀日立の挑戦は続く。

ふかみ・りん/1999年4月11日生まれ、勿来フォーウィンズ出身。右サイドを献身的に上下動するアウトサイドプレーヤー。主将としてチームの精神的支柱でもある。172cm、64kg