昨年度の全国高校選手権では強豪校でプレーし、名門・明治大の門を叩いた選手に注目する。東福岡高出身の佐藤は、高校2年時に全国高校選手権で優勝を経験。決勝戦は途中出場した。3年時も貴重なジョーカーとしてプレーしていた。明治大では1年生から公式戦出場を果たし、注目される存在となっている。新人戦では9番を付けて活躍した。

木戸先輩の背中を追う

全国高校選手権を振り返っても、悔しさがこみ上げる。
「結果を残せなかったので。3年生でも先発出場できなかったですし、大学ではスタメンにこだわりたい」
 
高校2年時は決勝の1試合のみで、86分から途中出場。全国優勝の瞬間をピッチで味わったが、実感はそれほどない。3年時も選手権では先発の座をつかめず、ジョーカーとして起用されて、準々決勝で大会を後にした。
 
それでも、全国屈指のタレントが集う明治大から声をかけられて入学した。本人は「明大の方が見に来た試合でたまたま良いプレーができた」と謙遜するが、その潜在能力はやはり高い。
 
総理大臣杯の予選を兼ねたアミノバイタルカップでは4試合に先発出場し、2ゴール1アシスト。公式戦で抜擢した栗田監督は「前線からの守備などまだ覚えることは多い」と前置きしながら、「点を取る感覚は持っている」と褒めていた。
 
新人戦でも8月27日の東京農大戦(○4−2)で2トップの一角としてプレーし、勝ち越しのPKを含む2ゴールを決めるなど、結果を出した。それでも本人は満足しない。
「まだ決めるチャンスはあった。早い時間帯に点を取って、前半からチームに勢いをもたらしたかった」
 
明治大でレギュラーの座をつかむのは簡単ではない。「想像以上に大学のレベルは高かった」と痛感している。追いかける背中は大きい。トップチームには同じ東福岡高出身で手本とする木戸皓貴ら、プロ注目のストライカーがひしめく。夏以降、主力のケガ人が戻り、さらに競争は激化してきた。
 
自慢の動き出しの速さを生かしながらも、自らまだ足りない部分を自覚している。明治大サッカー部の3原則を徹底することを誓う。
 
「球際、運動量、切り替え」
 
1年生ストライカーの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
 
 
(取材・文◎杉園昌之)
 
 
【プロフィール】
さとう・りょうが/1999年2月20日生まれ。福岡市立次郎丸中学校から東福岡高へ進み、高校2年、3年時に全国高校選手権に出場した。177㎝、67kg