■2017年11月4日(土)@埼玉スタジアム2002(観衆53,452人)
JリーグYBCルヴァンカップ決勝

セレッソ大阪 2-0 川崎フロンターレ
得点者:(セ)杉本健勇(1分)
       ソウザ(90+2分)

どちらが勝っても初優勝、そしてクラブ史上初のタイトルが懸かったC大阪×川崎Fのルヴァンカップ決勝は、C大阪が2-0で川崎Fを下し、聖杯(Jリーグカップの愛称)を高々と掲げた。クラブ史に「初優勝を導いた者」として名を刻んだC大阪の選手たちは、試合後に何を語ったのか――。

柿谷曜一朗

■キャプテンとして、C大阪のエース番号8番を背負う者として大一番に臨んだ柿谷曜一朗のコメント

――優勝して率直な感想は?
柿谷 試合の最後までみんなで戦いたかったので、自分へのふがいなさが残る試合ではありました(84分に山村和也と交代でベンチに退く)。ただ、これだけ注目されているなかで、結果が残せてすごくよかったと思います。
――表彰台に上って見た景色はどうだった?
柿谷 すごく不思議な気持ちでした。川崎フロンターレの選手の気持ちが……何度もあそこ(優勝チームを見つめるピッチ上)に残されて、何度もそんな経験をしてきているのに、僕たちはそこ(準優勝という場所)にも行っていないのに、こっち(優勝チームが上がる表彰台)に来て、と思いました。もちろん勝負事なので、勝った者が喜ぶのは当たり前ですが。でも、そういうチーム(強豪)になれたとは思っていませんし、この先こういう試合が続けていけるようにしないといけない。ただ、タイトルを取れたときに自分もこのチームにいられて本当に幸せです。
――試合開始直後に先制点が入ったが。
柿谷 いつもは健勇がヘディングをして、僕が後ろにいる形ですけど、今日は反対になりました。たまたま僕がヘディングして健勇が(そのボールを)受けて抜け出て。キーパーと1対1で、どうかなと思ったけど、今年は打てば入る。たくましいですね。
――先制後は相手にボールを持たせるという狙いだった?
柿谷 いや、持たれたという感じです。技術の高い選手に共通の意識を持ってプレーされると、なかなか僕たちのサッカーはできないですけど、今日は後ろの選手、ボランチの選手が相当走っていたと思うから、そういうサッカーが結果につながったと思います。
――表彰式は森島寛晃部長たちも一緒でした。
柿谷 このチームに関わってくれているいろいろな人がいて、いろいろな思いがあるなかで、シャケ(酒本憲幸)さんと一緒に優勝したかった。そういう思いを持ちながら僕自身はプレーしていて、今日はシャケさんのユニフォームを借りて、一緒に最後まで戦って、シャケさんに見せたかった。それができなかったのはすごく悔しいです。だからこそ、またこういう試合ができるように頑張っていけたらと思います。それとルヴァンカップは僕たちはあまり試合に出ていないので、グループリーグから出ていた選手たちがもっと称賛されるべきだと思います。
 1つ優勝したからといって、何かが変わるわけではありません。これを続けていってこそ意味がある。今日の試合に関して、僕はいろんな思いを背負っていたつもりだったので、悔しい気持ちもあります。でも、クラブとしては一歩前に進んだと思うので、そこはみんなで喜べたらいいかなと。

杉本健勇

■相手CBエドゥアルドのミスを見逃さず、開始早々に先制ゴールを決めた杉本健勇のコメント

――開始早々の先制点でしたが。
杉本 本当に、今までのどんな試合よりも先制点が大事だということをみんなで言っていましたし、自分自身もそのことを感じていました。川崎に先に1点取られると乗ってくると思っていたので、最初のチャンスを決めることができて良かった。まさかあそこで相手がミスするとは思わなかったけど、「来た」と思って、しっかりミートし、思い切り打てました。
――先日の大宮アルディージャ戦の後は「次に決めればいい」と話していた。
杉本 大宮戦ではかなり外していたから。チームが勝ったから良かったんですけど、個人的には悔しかった。でも、みんなからも「次の決勝で決めればいいやん」と声をかけてもらって。「俺が絶対に決めてやる」という強い気持ちで今日の試合に臨みました。
――先制した後は守備の時間が長かったが。
杉本 勝ったチームが強いんです。(この言葉を)やっと言えた(笑)。
――どういう計画でこの試合に臨んでいたのか。
杉本 相手は技術が高い選手が多いので、ボールを回されても焦れずにガマンして。失点しなければチャンスが来ると思って、それをモノにしようと話していました。ある程度プラン通りというか、そういうゲームになったと思う。守備の時間が長くて相手にもチャンスはありましたけど、最後はみんなで体を張って、しっかり守れたと思います。
――試合後、ピッチに突っ伏して泣いていた?
杉本 いえ、泣いてないです(笑)。いろんな思いが込み上げてきて。何て言うんですかね、勝ってから話すと言っていたんですけど、ここまでのルヴァンカップ、僕は今日の試合しか出ていないし、ましてやベンチにも1回も入っていなかった。ここまで連れてきてくれたメンバーに対して、僕だけ決勝に出たので申し訳ないというか、しっかり責任を持って戦わないといけないという思いがありました。負けたらどんな顔をすればいいのか、顔を見せられへんなと。そういう不安もありました。(今日出られなかった選手は)相当に悔しかったと思います。だから、俺らのほうが(相手よりも)絶対に気持ちが強いと思っていました。今日必ず勝って、そういう気持ちをルヴァンカップを戦ってきたメンバーに報告したかった。
――強い思いが、表彰台での最後の絶叫に?
杉本 そうですね(笑)。上から見る景色は初めてでしたが、素晴らしかった。でも、ここがゴールではなく、通過点だと思っています。もっとタイトルを取れるように、ここからが始まりだと思います。
――セレッソのユニフォームに星が1つ付くことになりました。
杉本 カッコイイと思います。今は1つですけど、もっと付くようなクラブにならないといけないと思いますし、これからもっと歴史を作っていきたい。今日は勝利に浸っていいと思いますけど、明日からはまた、僕も勝負ですし、また切り替えてやっていきたいです。
――MVPを受賞したことについては?
杉本 MVPは仲間がいてのことなので。MVPを取れたうれしさよりも、勝てたこと、タイトルを取れたことのほうが素晴らしいし、大きなものだと思います。
――今日の重圧は初めての感覚だったのでは?
杉本 すべてのシチュエーションが初めてでしたから。決勝もそうですけど、仲間が(ここまで)連れてきてくれたということも含めて初めてだし、色々な気持ちがあったんですけど、タイトルを取れました。決勝に連れてきてくれたみんなに感謝したいです。

清武弘嗣

■左MFで先発し、攻撃だけではなく守備でも存在感を示した清武弘嗣のコメント

――今日の感想を。
清武 (試合後に)みんな、まだ優勝した実感はないと言っていましたけど、そういうものだと思います。これから時間が経てば、少しずつそういう実感も湧いてくると思います。先制するのが少し早かったので、試合がどうなるかまだ分かりませんでした。明らかに左サイドを狙ってきているなという感じがありました。たぶん僕のサイドを押し込んでおけば、攻撃のときに僕が下がってから出ていくというパワーがなくなると思って、狙ってきていたのだと思います。だから割り切って守備に専念して、あとはカウンターを狙うしかなかったので、それを意識してやりました。結果的に勝てて良かったなと思います。1-5でリーグ戦では負けていたので、中はやらせないようにしようと思っていました。やはりフロンターレの一人ひとりの位置や間を取る感覚というのは、なかなかつかみづらいものがありました。正直に言って、普通に見たら崩されているシーンはあったのですが、最後に相手のシュートミスがあったりして、少しは運もあったかなと思います。
――2点目の場面について。
清武 あれはソウザが最後うまかったですね。ディフェンスが1人しかいなかったので、すごいチャンスだと思ったら、(水沼)宏太が後ろから全力で走ってきました。あとは人任せにしましたけど、うまくつないで入って良かったですね。
――試合後、監督に水をかけていた、どんな思いで。
清武 どんな思い? うーん、どうですかね。たぶん尹さんも、今回の決勝のメンバー選考ではすごく悩んだと思います。ここまで(ルヴァンカップを)戦ってきたメンバーは、リーグ戦に出ていないメンバーでしたから。たぶん僕たちよりも悩んで選んだメンバーだったと思うんです。そういう気持ちが尹さんにはあっただろうし、セレッソがここまで激しく戦える集団になったのは、尹さんのおかげだと思います。そういう感謝の気持ちを込めました。でも、僕たちが感謝しなければいけないのは、ここまで戦ってくれたルヴァン組のメンバーです。本当に感謝しています。
――今年セレッソに復帰したときも「感謝」という言葉を口にしていたが、少し恩返しできた感覚は?
清武 今年の目標は、タイトルを取るということだったので、ひとまずは良かったです。でも、もう終わったことですし、またすぐにリーグ戦が始まります。(山口)蛍と(杉本)健勇と(キム・)ジンヒョンは代表に行くので休む時間があまりありませんが、僕たちはちょっと休んで、またリーグ戦に備えて、ACL(出場)を目指してやっていきます。また元旦にここに戻ってくるチャンスもあります(=天皇杯決勝のこと)。またここで、最後に良い結果を残したいなと思います。
――負傷離脱していた時期が長かったが。
清武 別に焦りはなかったので、今回はしっかり治そうと思いながらやりました。いつも決勝とか優勝争いで負けてきたチームだったので、歴史を変えるのは僕たちしかいないという思いを持ちながら今日は戦いました。みんな、(表彰台で)上に上がったときには「これが優勝か」みたいなことを言っていました。すごく新鮮でした。もう一度、この場所に戻ってきたいなと思います。

山口 蛍

■豊富な運動量でピッチを縦横無尽に走り、最後までチームの核としてプレーした山口蛍のコメント

――今日の試合について。
山口 本当にキツい戦いでしたし、ボールは握られていましたけど、気持ちこもった試合ができたと思います。アウェーの川崎戦で、結果的に無駄に、行かなくてもいいところで、バラバラに前から行ってしまったりして、5失点してしまったので、そういうところで、今日は行くところと行かないところの区別をしっかりできたと思います。早い時間に得点を取れたので、慌てずにしっかりブロックを作って、カウンターを狙うサッカーに徹しました。自分たちのサッカーができないときは、いつも負けてしまっていたけれど、今日は勝つという目標を体現できたと思います。自分たちのサッカーをして勝つことはもちろん大事だと思うけれど、今日はみんな気合いが入っていたし、全員が球際で戦えていたし走っていた。そこが一番の勝因だと思います。
――最後まで走り、(アディショナルタイムに)決定的な点が入った。
山口 かなり相手も前掛かりになっていたし、1-0だったら最後に追いつかれる可能性もないことはないので、2点目を決められて良かったと思います。(相手が)ずっとつないできていたけど、最後は放り込んできていたので、そういった意味でウチとしては良かったのかなと。その時間には(山村)和也くんも入って5枚になって、ロングボールに対する対処はできていたと思うので。自分とか(杉本)健勇とかは、決勝戦しか出ていません(※山口はグループステージでも1試合に出場)。そのため、本当にみんなに(決勝戦に)連れてきてもらった思いが強いです。そういう意味ではセレッソとして、チーム全員で取ったタイトルということは間違いないと思います。
――初タイトルを手にした意味は?
山口 これから名門になっていくためには、もっと多くのタイトルが必要だと思うし、タイトルを取っていないチームは名門とは言われない。今日(ルヴァンカップを)取って、(準決勝に勝ち残っている)天皇杯もあるし、本当に今日(の勝利)は意味のある一勝になったと思いますね。