8月24日発売のサッカーマガジン10月号はJリーグ準会員だった『ネクスト10』を特集。川崎フロンターレからは小林悠選手が登場。クラブについて、クラブ哲学についてたっぷり語っている。

声援が欠かせない等々力劇場

フロンターレが地域に根付き、街の人たちに愛される所以とは何か――。

2010年に拓殖大から加入し、フロンターレ一筋で8年目を迎える小林悠は、その答えを自分の言葉で語ることができる選手だ。クラブが用意したような模範解答を棒読みすることはない。フロンターレの看板を背負うことの意味を理解している。

プロフットボーラーはピッチでボールを蹴るだけが仕事ではないという。シーズン開幕前には、川崎市内の商店街にチームとして挨拶まわりに必ず出向く。
初対面の人でも、ゆうちゃん、ゆうちゃんと話しかけてくれる」とうれしそうな顔でクラブの恒例行事について説明した。

選手がその意味を理解し、続けてきた地道な努力が、ファン・サポーターとの一体感を生んでいるのは間違いない。劇的な逆転劇を呼び込む「等々力劇場」も、大観衆の「声援あってこそ」と、小林はしみじみ話す。

等々力陸上競技場の観客数が右肩上がりに増えていくなか、同じようにプレーヤーとして成長曲線を描いてきた小林は、ファンサービスの大切さを肌で感じている。最初はバナナを被ったり、女装したりするのは「恥ずかしさもあった」と照れ笑いを浮かべるが、いまでは「その意味は分かっている」。水色のユニフォームに袖を通すエンターテイナーとして、ファン・サポーターを喜ばせることは当然と言わんばかりだった。

もちろん、本分も忘れていない。魅力的なパスサッカーを展開し、ゴールを重ねることにも注力する。風間八宏前監督(現名古屋グランパス監督)時代に地盤をつくったスタイルを、鬼木達監督のもとで進化させていくことを誓っている。

「ランニングの量を増やし、前のアクションももっと増やす」

いまフロンターレのあるべき姿とは――。

キャプテンの小林悠が、8月24日発売のサッカーマガジンで余すことなく語っている。

(取材◎杉園昌之、撮影◎福地和男)