発売中のサッカーマガジン9月号、巻頭特集は「ACL激闘史」。準々決勝で対戦する川崎Fと浦和の主力選手インタビューや、Jクラブの挑戦の歴史などを取り上げていますが、西アジアのクラブでACL制覇に挑戦する日本人選手のインタビューも掲載しています。広島からUAE(アラブ首長国連邦)のアルアインに移籍した塩谷司選手です。

塩谷に聞きたかったお金のこと

取材に応じてくれたのは、アルアインへの完全移籍が発表されて間もない6月下旬でした。離日に備えた関係各所へのあいさつ回りなどで「すごく忙しいんですよ」と忙しく過ごしていた時期に、時間を割いてもらい、オファーが届いた時期や決断に至るまでの経緯、契約の際に訪れた現地の様子などを語ってくれました。

ACLのことも含め、さまざまな質問を用意しましたが、絶対に聞かなければいけないと思っていたことがあります。それはズバリ、「お金」にまつわること。今回の移籍に際しては移籍金や年俸など、いろいろな報道が流れました。それが今回の移籍決定にどんな影響を与えたのか、ぜひ本人の口から聞きたいと思っていたのです。

こちらの質問に、塩谷選手は「やっぱり、そういう質問も来ますよね…」と答えた後、静かに自分の思いを語ってくれました。しっかりと、かみ締めるように。

「今回の決断にお金がまったく関係ないと言ったら嘘になります。でも、自分はお金だけでサッカーをしてきたわけではありません」

その真摯な姿勢からは、残留争い渦中にあるサンフレッチェ広島を離れると決めて新天地を求めた、覚悟の大きさを感じることができました。

「本当にお世話になりましたし、クラブが一番良い時代に選手として関わることができたことを誇りに思います。いろいろなことを経験し、自分を成長させてくれたクラブです」
 
2012年シーズン途中に水戸から完全移籍で加入し、5年間でキャリアの地歩を固めた広島に対して、抱いているのは感謝。そして誇り。詳しくはぜひ、誌面で。ファン・サポーターの皆さんにじっくり読んでいただきたい内容です。

UAEのみならず中東全体で、日本人選手の評価が高まる、そんな活躍に期待したいと思います。

(取材◎石倉利英/写真◎佐々木萌)