数々のJクラブから注目された万能ボランチは、来季の川崎F加入が内定した。
無名だった高校時代から、大学屈指のMFになるまでの軌跡とは――。

プロでも茨の道を希望

大学レベルでは球際の強さは圧倒的。予測力があり、寄せの速さも目を見張る。本人も「ルーズボールをマイボールにするのが強み」と胸を張る。177センチ、73キロと目立って体は大きくないが、中盤での存在感は際立つ。浦和レッズとの練習試合では体格差を痛感しながらも、強気な顔をのぞかせた。

「個人としては負けているとは思わない。来年は肩を並べて戦わないといけないし、当たり前に勝たないと」
後半からチーム事情によりセンターバックで出場し、ズラタン、高木俊幸といった実績あるプロと堂々と渡り合った。

本職のボランチだけでなく、センターバックからサイドバックもこなす。キャプテンシーがあり、マルチロールとして知られる日本代表のMF長谷部誠(現フランクフルト=ドイツ)を手本としている。流経大の大平正軌コーチからは「長谷部になれ」と言われ続け、自然と意識するようになった。ポジションへのこだわりはなく、「チームを勝たせるためなら、どこでもやる」と言葉に力を込める。

金光大阪高時代は全国的に無名。大学入学時は「4軍」からスタートした。「周りはうまい選手ばかりだった」。それでも、あきらめたことはない。地道に練習に励み、一歩一歩成長して、レギュラーをつかんだ。

同じように流経大の「3軍」から這い上がり、浦和の欠かせぬ戦力となった宇賀神友弥の姿とどこか重なる。
「僕も同じようなタイプ。何か特別な武器を持っているわけではない。根本的なところで勝負している。チームのために献身的に働き、戦う姿勢を見せ続けている」

ビッグクラブで確固たる地位を築いた先輩からは勇気をもらっている。大学で厳しい生存競争を勝ち抜いてきた守田はプロでも茨の道を歩むつもりだ。

「簡単に試合に出られなくても、僕は高いレベルでもまれた方が成長できる。これまでそうだったので。いい手本がいるチームでプレーしたい」

7月27日、川崎Fから加入内定が発表された。同クラブ関係者は中盤での守備力を高く買っており、即戦力としての期待が集まる。
 

(取材・文◎杉園昌之)
 

【プロフィール】
もりた・ひでまさ/1995年5月10日生まれ。大阪府出身。金光大阪高から流経大へ進学。全日本大学選抜の経験あり。2017年度デンソーカップのMVP。177センチ、73キロ。

※サッカーマガジン8月号掲載の大学支局を再構成し掲載しています。