前線で献身的にボールを追う中川⑲。柏の好調を支えるキーマンのひとりだ

2017.06.18 明治安田生命J1リーグ第15節 
ヴァンフォーレ甲府 0-0 柏レイソル

文◎小林康幸(サッカーマガジン編集部)

決して勢いだけではない

今季、柏は23歳未満の選手が何人もスタメンに名を連ねている。15節の甲府戦でスコアレスドローに終わるまで、8連勝を飾って首位を走った。

「若いとは思っていないですね」。年齢について中谷進之介に聞くと、開口一番にその言葉が返ってきた。15節時点でリーグ戦全試合にフル出場。21歳のディフェンスリーダーは、こう続ける。

「チーム全体が若いので、みんなも自分が若手だとは思っていません。若い選手同士の競争の中でやっているので」。確かに、15節甲府戦のスタメン平均年齢は24.18歳と、同節のJ1のチームで最も若い年齢構成となっている。

では、そんな若いチームが、なぜ浦和やC大阪などの代表選手を抱えるチームを下し、破竹の8連勝を成し遂げられたのか。

32歳、キャリア10年目で、若いチームをまとめるキャプテンの大谷秀和は説明する。
「若いチームなので、もちろん勢いはあります。でも、みんな相手を見てサッカーをしている。相手がプレスに来なければ、しっかりパスをつないでいくし、逆に前から来るのであれば背後を狙ったりしている。だから、決して勢いだけではないという認識を持っています」

22歳の中川寛斗は、「もともと、5連勝、6連勝と、勢いがあって勝ってきたという感じではなかった。一つひとつの試合を落とさないことを、毎試合やっているので。最初から僕たちは勢いでやっているわけではありません」と、強調した。

アカデミーの存在

その試合巧者ぶりは、若いチームらしくない。下支えとなっているのは、今季のトップチームメンバーを実に15人も輩出したアカデミーの存在だ。

「ユース(柏U-18)のときにやっていたサッカーが、自分たちアカデミー出身選手にとっては財産になっているし、それが今はトップチームで他の選手たちと融合して、すごくうまくいっています。あそこでやってきたことは、無駄じゃなかったな、と実感しています」と語るのは中谷だ。

いま主軸となっている選手たちは、小学生や中学生時代から何年も柏に“所属”している。アカデミー時代に培ったベースを生かしつつ、クリスティアーノや伊東ら、他クラブからの加入組の力と融合して、今の強さが生まれているのだ。

そう考えれば、「若いと思っていない」という中谷の言葉もうなずける。

そして、若きチームを統率する大谷はこう話す。
「連勝は止まりましたけれど、これまで1試合1試合やってきた結果なので、その意識は変わりません。勝ち点をしっかり積んでいくことが、長いシーズンでは必要です」

2011年のJ1初優勝時にも、キャプテンマークを巻いてピッチに立っていた大谷の言葉は重い。

アカデミーから着実にキャリアを積み重ねた経験豊富な若手が中心となって築いた必然の8連勝。引き分けを1つはさんだが、9戦負けなし。その記録はどこまで伸びるのか。

to14節浦和戦に勝利し(○1-0)、8連勝を飾った柏イレブン。サポーターと喜びを分かち合う