トップチームに多くの選手を輩出する柏レイソルU-18。
世界の舞台を見つめる2年生ストライカーを紹介する。

柏から世界を目指す未完のストライカー

柏U-18の最前線に君臨する2年生ストライカーは、獲物を狙うハンターのようにも感じられる。

「(目標とする選手は)レイソルだったらディエゴ・オリヴェイラ。海外のチームだったら、ルイス・スアレス(バルセロナ=スペイン)とか、レバンドフスキ(バイエルン=ドイツ)」。182センチの長身に加え、スピードも技術力もある。相手のディフェンスラインと巧みに駆け引きをし、虎視眈々とゴールを狙う姿が、トップチームで活躍するブラジル人FWや、世界的に名の知れた点取り屋の姿を思い起こさせる。

「スピードもあるし、テクニックもある。FWとして面白い選手」と、永井俊太監督も、その能力に一目置く。

今年1月には、カタールのドーハで行なわれた『アルカス・インターナショナルカップ』にチームとして参加し、ヨーロッパの強豪クラブのユースチームと渡り合った。初戦でバイエルンから1ゴール、準々決勝ではレアル・マドリード(スペイン)から2ゴールを奪取。さらに、5位決定戦のパリ・サンジェルマン戦でも1ゴールを奪い、世界的なビッグクラブのエリートたちと並んで大会の得点王に輝いた。

「海外の選手たちを相手に、得点を取れたことは自信になった。通用した部分と、しなかった部分がすごく分かったので、良い経験にもなった」と、大きな手ごたえをつかんだ。

そして、開幕した高円宮杯プレミアリーグでは、開幕戦(○2-1京都U-18)で2得点を決め、白星スタートの立役者となった。

だが、良いことばかりは続かない。2節の横浜FMユース戦(△0-0)では「決定機を外してしまった」と、スコアレスドローに終わった結果の責任を痛感。続く3節の鹿島ユース戦(●0-1)では、「今日は絶対に決めないといけない」と意気込んだが、力みが仇となり、得点機すら作れないまま、90分を終えた。

「シュートが全然打てなかったし、やりたいプレーができなかった。相手のセンターバックにつぶされるシーンも多かったので、改善したい」と悔しさをにじませた。

4節も青森山田高に2-0と屈し、森自身もチームも、3試合ゴールから遠ざかった。5節ではFC東京U-18に敵地で2点差を追い付き、勝ち点1を得た(△2-2)が、この試合でも森にゴールは生まれなかった。

チームの出来を左右する大黒柱でもあるだけに、指揮官も「もっとやってもらわないと困る」と、期待を込める。

「まずはここで結果を残す。そして、(U-17)ワールドカップ(インド・10月開催)もあるので代表に入りたい」

再び世界と戦うために、そしてチームを勝たせるために――。未完の大型FWは、今後のプレミアリーグでのゴール量産を目指す。

(取材・構成◎小林康幸/サッカーマガジン編集部)
 

Profile◎もり・かいと/2000年6月7日生まれ、柏U-15出身。小学4年から柏の育成組織でプレー。今年2月に行なわれたU-17代表のスペイン遠征にも参加した。182cm、71kg
 

※サッカーマガジン7月号掲載のユース支局を再構成し掲載しています。